西日本豪雨で一部区間不通のJR木次線、スピード復旧 「奥出雲おろち号」も運行再開

運行再開の「奥出雲おろち号」を踊りで出迎える子供たち
運行再開の「奥出雲おろち号」を踊りで出迎える子供たち【拡大】

 西日本豪雨の影響で一部区間が不通となっていたJR木次(きすき)線(松江市-広島県庄原市)が8日、全線復旧し、7月6日から運休が続いていた人気観光トロッコ列車「奥出雲おろち号」も1カ月ぶりに運行を再開。当初は復旧に1年以上かかるとの見通しが示され、“廃線”の危機感を強めていた沿線の自治体や住民らを一安心させた。

 木次線は、島根県東部と広島県北東部の主に山間部を結ぶ全線81.9キロのローカル路線。先の豪雨で、計10カ所で軌道の路盤流失や土砂の流入、冠水などの被害を受けた。さらに、近接する別の路線で発生した橋脚の流失でケーブルが切断され、木次線もこの影響を受けて分岐器の遠隔制御などが不可能に。JR西日本は7月18日、木次線について「復旧は1年以上先になる」との見通しを示した。だが、先に開通した別路線を迂回(うかい)する形で木次線のケーブル復旧に成功したことで、早期の運行再開が実現した。

 地元では、今年3月末に三江(さんこう)線(島根県江津市-広島県三次市)が廃線となったばかりで「次は木次線だ」という危機感を抱く関係者も少なくなかった。

 木次線が全線復旧したこの日、奥出雲おろち号の始発駅・木次駅(島根県雲南市)で出発セレモニーを開催。雲南市の担当者は「沿線自治体にとって列車自体が重要な観光資源。廃線の危機感が募る中、運行再開が夏休み中に間に合って本当にうれしい」と喜んだ。