85歳でも現役、素朴でやさしい味わい提供 息ピッタリで定食屋で働く「なにわの双子姉妹」 (3/3ページ)

南船場の定食屋「十代橘」を営む85歳の双子のおばあさん十代都喜子さん(右)と葛野都司子さん=大阪市中央区(薩摩嘉克撮影)
南船場の定食屋「十代橘」を営む85歳の双子のおばあさん十代都喜子さん(右)と葛野都司子さん=大阪市中央区(薩摩嘉克撮影)【拡大】

 姉は闘病中

 苦労を感じさせない2人の明るさがお客さんを呼び込む。40年近く通っている男性客(86)は、仕事で嫌なことがあると、決まってこの店に飲みに来た。「うじうじ飲んでたら、この2人に両側から『しっかりせぇ』と言われる。そしたらやる気が沸いてきた」と話す。

 元気に働いているが、都喜子さんは実は闘病中でもある。

 81歳のときに大腸がんが見つかり手術。その後、肝臓にもがんが見つかった。抗がん剤治療の副作用で手足の関節が痛んだり疲れやすくなってしまっているが、「店はいっぺんも休んでまへん」と胸を張る。

 都司子さんは、いつも、さりげなく病気の姉を気遣う。疲れすぎないように様子をうかがい、立ち上がるときはさっと手を貸す。

 「こんなにようしてもらっても返せまへんで」と感謝する都喜子さんに、都司子さんは「助けるやて思ったことないわ」と応じた。

 85歳まで元気で働くことが目標だったという2人。今年の2月の誕生日で目標に到達したが、まだ働けるし、働きたい。次の目標は90歳だ。