【著者は語る】部下のやる気を引き出す「リーダー」のチェックボックス


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 □企業コンサルタント・中澤仁美氏

 ■管理職がすぐに実践できる3つのメソッド

 2017年に鬱病で労災認定を受けた人は506人、過労死が90人と報道されました。長時間労働とストレスが原因とされています。管理職の仕事上のストレスで上位を占めるのは、職場の部下や顧客との人間関係です。

 私は「部下との人間関係を良くして、組織を効率的にすること」に焦点を当てて、この本を書きました。人材の育成に悩みを抱えている企業が多いと痛感しているからです。

 とかく、「管理職が部下をやる気にさせるには親のような気持ちで接しなさい」など抽象的アドバイスが多く、すぐに行動できない意見が多いようです。

 私は3つのメソッドですぐに実践できることを本書で提唱しました。(1)3段階で部下のやる気を引き出している(2)部下の指導が省エネでできる(3)どんな部下でも行動に移せる言葉を使っている-です。多種多様な人にどう接すれば良いのかを徹底研究してきた裏付けがあります。

 私はこれまで、延べ2万7000人の管理職の悩みを一緒に解決させていただいてまいりました。最近、特に多いのが「部下が何を考えているか分からない。どう対応し、指導したらいいのか本当に分からない」という悩みです。これは、部下と真摯(しんし)に向き合って理解し寄り添いたいと思っているからこその悩みといえるでしょう。

 生産性の向上が強く求められる昨今、部下のやる気を高められるかどうかが、上司の評価に直結する重大事です。なぜなら、部下をきちんと理解してやる気を引き出せてこそ、仕事の生産性が上がり、業績などの成果に直結すると考えられているからです。もっとも、かつての私は立派なことなど言えるリーダーではなく、多くの管理職の方々と同じように悩み苦しむ日々を重ねました。

 打開策として、部下の発言や態度、行動など表面的な問題の裏にある「真意」を読み解くことを徹底して試みました。

 具体的には、声掛け、質問、提案、依頼、承認、分かち合いなどを実践したのです。これらの行動が、部下のやる気をうまく引き出してリードしていくために最も重要だと思うに至りました。

 本書を通じて、管理職の方々が部下のやる気を引き出し、生産性を飛躍的に向上させることで、仕事のストレスが大幅に軽減されることを願っています。(1512円 明日香出版社)

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【プロフィル】中澤仁美

 なかざわ・ひとみ 日本ナンバーワントレーナー協会理事。ファンクションワークス代表取締役社長。外資系セミナー会社に約9年務めた後、2011年に日本ナンバーワントレーナー協会を設立し独立。その後、経営者研修をメインにしたファンクションワークスを設立。企業研修の参加者は2万7000人以上に上る。