地の利の悪さやリスクを受け入れ、発信し続ける意味[Araheam/鹿児島県鹿屋市] (1/2ページ)

肩の力の抜けた、気持ちのいい接客が印象的な前原宅二郎氏。お店は兄の良一郎氏と共同経営。

肩の力の抜けた、気持ちのいい接客が印象的な前原宅二郎氏。お店は兄の良一郎氏と共同経営。

【ONESTORY】多肉植物や観葉植物、サボテンなどの多種多様なグリーンとともに、ライフスタイルの延長線上にある服やグッズなどをセレクトして取り扱う『Araheam(アラヘアム)』。

ショップのある場所は、鹿児島県鹿屋(かのや)市です。

と、聞いて、すぐにその地を思い描けたり特長を挙げられたりしたら、かなりの鹿児島ツウ。もしくは地元関係者ではないでしょうか。何しろここは、なかなかの地の利の悪さなのです。

鹿児島に2つある半島のうちのひとつ、大隅半島。その中央部に位置するのが鹿屋(かのや)市で、県内では3番目の人口規模を有する町といいます。しかし現実的なロケーションでいえば、鹿児島空港からは車で順調に走り続けても所要時間約1時間、鹿児島市内からはフェリーを乗り継いで約1時間30分と、県外から足を運ぶには結構な距離です。

鹿児島県の端っこで、エッジを利かせながらも地に足の付いた活動をする。

周辺環境も、国道沿いにあるいくつかの大手チェーン店の他は、個人経営のお店は限られており、シャッターが下りている商店も少なくない場所です。

「ここで店をやることは、リスクだらけですよ」と語るのは、前原宅二郎氏。『Araheam(アラヘアム)』を、兄・良一郎氏とともに経営しています。

しかし、その言葉をそのまま受け取ると、なんだか厳しい環境下に身を置いているように思えるのですが、これがちょっと違うのです。なんというか、その環境を「ごく普通に」受け止めているだけ、という感じなのです。

躍起になって、ここから何かをやってやろうとか、仲間を集めて事を動かそうとか、そういうムードではないのが、妙に印象的です。

「昔はそういうのも、多少はあったんです。でも寄ってたかってこうしようと、その時だけ、見た目だけの考えで何かをしても、結局続かないんですよね。それよりも、地に足をつけて自分たちの店をしっかりやる。元気な店作りをすることが、一番の町おこしなんじゃないかなと思うようになったんです」と宅二郎氏は話します。

まずは、自分たちのできることをやっていく。けれどその実、とてもエッジが利いているのです。

それは宅二郎氏然り、扱うアイテムや漂うオーラ、空気感の全てに、通じるものがあります。

種類、大きさ、高低と様々なグリーンが置かれる店内。元は材木倉庫だった場所を利用した、広々とした空間だ。

種類、大きさ、高低と様々なグリーンが置かれる店内。元は材木倉庫だった場所を利用した、広々とした空間だ。

奥の部屋では服、生活雑貨、鉢などライフスタイルまわりの商品が並んでいる。

奥の部屋では服、生活雑貨、鉢などライフスタイルまわりの商品が並んでいる。

「お客さんが5分で帰る店」から、「住みたい」と思わせる店作りへ。

なんとも、気持ちがいい。

『Araheam(アラヘアム)』の中にいると、全身が深呼吸しているような感覚になります。店内をとりまく数々のグリーンの効果はもちろんですが、ぐるぐると店内を徘徊する楽しさや、立ち止まったりしゃがみ込んだり、目線を色々と動かせる楽しさに気付くのです。

「皆さんそう言ってくれますね。『住みたい』なんて言う人も。『住めませんよー』って言うんですが(笑)」と宅二郎氏。

でも実は、この店の前身である『Edge×Edge(エジエジ)』時代は、その真逆だったようで、「お客さんが5分で帰る店」だったとか。

現在は、元材木店の倉庫を改装した、かなり広い空間。天井高もたっぷりあるので、圧迫感はいっさいありません。店内にはコンテナが設置してあり、そこはギャラリースペースになっています。

「そのコンテナが、以前の『Edge×Edge(エジエジ)』だったんです。場所はここからすぐ近くの別の所にあったんですが、父親の会社で倉庫として使っていたものを、そのまま店舗にして。2009年に、兄と始めました。最初は植物とジュエリーという商品構成でスタートしたんですが、何しろ狭いでしょ。お客さんが入ってはくれるんだけど、居づらいのか、見たら帰る、買ったら帰る。ホントに5分。なんとかもう少し長く、店に居続けてほしくて」と、宅二郎氏は当時を振り返りながら話します。

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