「制限より変革」を 東京医科大の合格抑制問題、女性医師はどう思う (1/3ページ)

 東京医科大(東京都新宿区)が、医学部医学科の一般入試で女子受験生の合格者数を抑制していたことが明らかになった。関係者によると、同大出身の女性医師が結婚や出産で離職し、系列病院の医師が不足する恐れを考慮した措置だったという。女性医師の「抑制」は広く行われているのか、また女性医師自身はどう思っているのか。

不正入試問題の内部調査報告を受けて記者会見に臨む東京医科大の行岡哲男常務理事(左)ら=8月7日午後、東京都内のホテル(斎藤良雄撮影)

不正入試問題の内部調査報告を受けて記者会見に臨む東京医科大の行岡哲男常務理事(左)ら=8月7日午後、東京都内のホテル(斎藤良雄撮影)

 根強い「3割まで」

 3人の子供を育てる大阪府内の小児科医の女性(35)は、かつて大学病院に勤務していた経験から大学側の“事情”を明かしてくれた。

 外科や小児科、産科などには当直勤務やオンコール(呼び出し)があるが、「人数が足りず、医師の体力と熱意に頼ってギリギリでやっている状況」。だが産後は、当直やオンコールに対応できない期間が必ずあり、他の医師に負担がかかる。当直ができないからと、病院を辞めたり、非常勤になったりするケースも多く、「それなら『最初から女性を入れない方がいい』となる。大学病院では『女性医師は3割まで』という考え方を、多くの人から聞く」と打ち明ける。

 自身の1人目の妊娠は大学病院の研修医時代。産後5カ月で復帰し小児科で研修したが、月6回以上の当直があり、「両親の全面的な協力がなければできなかった」。現在はサポートが手厚い地域の病院で小児科医として勤め、昨年3人目を出産した。当直はないが「当直医が足りず、大学病院から来てもらっている。結局カバーしてもらわなければならない」。

超過勤務が常態化、過酷な実態