「制限より変革」を 東京医科大の合格抑制問題、女性医師はどう思う (2/3ページ)

 超過勤務が常態化

 日本医師会が昨年2、3月、女性医師を対象に行った調査によると、1週間の勤務時間が40時間以内でおさまっているのは、時短、非常勤を含めても3分の1だけ。月の超過勤務は80~100時間が12%、100時間以上が13%など、過酷な実態が浮かび上がる。

 昨年の臨床研修修了者アンケートでは、子育てと勤務の両立に必要なものとして「職場の雰囲気・理解」がトップにあげられた。「当直や時間外勤務の免除」「子供の急病などの際に休暇がとりやすい」なども上位にランクされたが、現在の病院で、こうした状況に「満足している」とした女性の割合はいずれも30%を下回った。

 環境は変えられる

 病院の中には、女性医師が働きやすい環境を整えているところもある。岡山大学病院(岡山市)は、平成20年度から、子育てでいったん現場を離れた女性医師を子供1人につき最長3年間、短時間勤務で受け入れている。昨年度までに約130人を受け入れ、期間終了後は約8割の女性が同大病院や地域の病院などに就職した。

 ポイントは、短時間勤務の女性を、各科の定数にプラスする形で配属すること。フルタイムでなくても他の医師の負担は減り、本人も「迷惑を掛けている」という罪悪感を抱かずにすむ。復帰のハードルが下がり、育児休暇の取得者も増えたという。

「離職するから雇わない、は完全に間違っている」