小中学校に広がる「プール廃止」 老朽化、コスト負担大きく (3/3ページ)

 一方、プール集約を打ち出しながら、うまく進まなかった自治体もある。横浜市は近隣の中学校2、3校をグループとし、うち1校に屋内温水プールを整備、そのほかを廃止する方針を示したが、生徒の移動や付添人の確保などに課題が出て、計画は頓挫している。

 スポーツ政策に詳しい神奈川大の大竹弘和教授(公共政策)は「体育の授業を地域の中で行う考え方に切り替え、学校と市民が共同利用するスポーツ施設に予算を集中することは少子化時代の要請だ。業務委託が進めば、開会まで2年を切った東京五輪に向け、スポーツ市場の活性化にもつながる」と指摘している。

                   

 ■7割超が改修必要

 公立の小中学校では、施設の老朽化対策が喫緊の課題だ。文部科学省によると、築25年以上(平成29年時点)で改修が必要な施設は全体の7割超。さらに今後15年で、築45年を超える施設が大幅に増え、一斉に建て替えが必要となると予想されている。財源との兼ね合いから、文科省は建て替えではなく、補修などで長持ちさせる「長寿命化」を合わせて提案。効率的な事例を自治体に紹介するなど、対策を進めている。