【著者は語る】太田差惠子氏『親の介護には親のお金を使おう!』


【拡大】

 □介護・暮らしジャーナリスト 太田差惠子氏

 ■100歳までの“マネジメント”を図表付きで説明

 「親の介護」に戦々恐々としている方が多いのではないでしょうか。親が倒れる「その日」がいつか分からない。どのように介護が始まるのか、誰が看(み)て、いくらかかるのか、と。

 見えない“オバケ”ほど不安をあおるものです。しかも、医療の進歩もあり、介護期間は10年、20年と続くケースも…。

 こんな男性がいました。独居の母親の心身状態が悪化。「もってあと2年くらいだろう」と、お金を援助して有料老人ホームに入ってもらいました。

 入居すると、日に3回、しっかり食事をとり、リハビリをして、母親はどんどん元気になりました。私が男性と会った時、すでに入居から3年が経過。「もうお金がないんです」と男性。母親が元気になったことはうれしくても、支払いをどうするか。

 今の親世代は持ち家があり、年金が充実している人が少なくありません。資産や年金が少ない場合は、医療費や介護費が軽減される制度が整っています。

 一方、若い人ほど将来受給できる年金額に期待できず、介護保険のサービスも先細り。いつか自分の介護費用も要るかもしれないと考えれば、子が過度に援助をするのはNG。親に応分の負担をしてもらいましょう。介護離職も避けたいですね。

 介護といえば、身体介護を思い浮かべがちです。でも、それだけではないと思うのです。家族が何もかもできるわけではありません。親の希望を聞き、適したサービスを探し、導入することも介護だと言えます。いわば、マネジメントです。

 マネジメントには、予算管理が必須。先の男性のように「もうお金がない」なんてならないよう、親の年金額や蓄えを把握して、可能な形で介護サービスを入れることが大切です。足りないなら軽減制度や、お安いプランを考える。計算する際は、100歳まで生きると考えて。

 本書では、こうした情報をマンガと図表付きで説明しています。「聞きにくい」と言われがちな親の懐事情のたずね方も。下手に聞くと、「財産を狙っているのか」と怒鳴られます。

 余談ですが、お子さんのいる方は、本書を渡せばほっとされるかしれません。自分では子に迷惑をかけまいと思っていても、「いつか、親の介護費用を負担?」と不安を抱いている20代や30代も多いですから。(1512円 集英社)

                   ◇

【プロフィル】太田差惠子

 おおた・さえこ 介護・暮らしジャーナリスト。1993年頃から老親介護の現場を取材。取材活動で得た豊富な事例をもとに「遠距離介護」「仕事と介護の両立」「介護とお金」などの視点で講演・執筆。ファイナンシャルプランナー(AFP:日本FP協会認定)の資格も持つ。96年、親世代と離れて暮らす子世代の情報交換の場として「離れて暮らす親のケアを考える会パオッコ」を立ち上げ、2005年に法人化した。現理事長。著書多数。