アジアのプライスをリードする香港の高級住宅事情 (1/3ページ)

【HILLS LIFE Daily】ニューヨーク、ロンドンとともに、世界の高級住宅マーケットにおけるプライスリーダーの一つである香港。中国マネーの流入により進化し続ける香港の住宅事情を、駐在経験もある元森ビル住宅事業部担当者が考察します。

2016年に竣工した「マウント・ニコルソン」。タワー棟の最上階にある2つの住居を1つにしたものが、現在の香港での最高額の物件となる。

2016年に竣工した「マウント・ニコルソン」。タワー棟の最上階にある2つの住居を1つにしたものが、現在の香港での最高額の物件となる。

――まずは香港の不動産マーケットの特徴について教えてください。

真田 香港がイギリスから中国に返還されたのは1997年ですが、当時の香港の人口は約650万人でした。それが今や約750万人。約20年で100万人(15%)ほど増えました。主な原因は中国本土からの移住者です。香港の不動産マーケットを見るには、つねに中国との関係を考えなければなりません。深●(=土へんに川)と香港の間にある越境ボーダーのゲートをどれだけ開けるか、香港は本土からの移住者を巧みにコントロールしています。同じ中国にはなりましたが、一国二制度と言われるように中国本土と香港では今もなお様々な制度が異なります。そもそも中国元と香港ドルは異なる通貨で、香港ドルはドル・ペッグ制というシステムを用いていますおり、米ドルに連動しています。そのため、香港は中国元で稼いだ資産を異なる通貨ベースの、より安全な資産に変える場所でもあります。その一つが株や証券と共に上昇し続ける不動産という形です。

――返還時から不動産価格はどれぐらい引き上がったのでしょう?

真田 2.2倍になりました。不動産は価格が上昇しピークを過ぎると、通常は一旦下がりますが、香港では踊り場を経てまた上がっています。富裕層向けのハイエンドな物件の価格は20年間にわたって上昇し続けています。香港経済はある意味不動産ビジネスで成り立っている部分が大きいので、不動産価値を下落させられないというのもあると思います。世界の高額不動産マーケットを形成するニューヨーク、ロンドン、シンガポールも含めた都市のなかで、最も総取引額が高いのが香港です。取引量ではロンドンがトップで、個別の住宅で最も高い値がついているものがニューヨーク。近年香港で一番高い物件は約160億円です。大雑把に、香港の富裕層向け住宅の平均単価は東京の2倍と言っても過言ではないでしょう。投資目的の購入が主で、購入者は中国本土とアジアの人々が多いですね。

――富裕層向けの住宅が集まるエリアとは?

真田 香港島のセントラル地区とビクトリア・ピークの間にある「ミッドレベル」という中腹エリアです。イギリス統治時代の高級住宅街で、ビクトリア湾の眺めが良い。香港では不動産開発が香港全土の4割に限定されていて、残りの6割は緑地保存しなければならないんです。そのため、山を簡単に宅地には出来ず、昔お屋敷だったところを10数層のマンションにする、あるいは小邸宅が集まっている土地をまとめて高層ビルにする、そういったことしかできない。市街地は土地・建築の権利が細分化かつ錯綜しているので、街中の再開発は至難の技です。逆に緑と接している敷地は、権利が一個人あるいは一社のところが多く、そうした敷地を再開発することが多い。

続きを読む