【視点】人手不足の解消 まずテレワークの推進だ 産経新聞論説委員・河合雅司 (1/3ページ)

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 働き手不足が広がってきた。これまでは景気動向に左右される部分が大きかったが、2040年の20~64歳人口は現在より1500万人近く減る。今後は、あらゆる職種で慢性的な人手不足となるだろう。

 こうした状況に対し、安倍晋三政権は外国人労働者の受け入れ拡大で対応しようとしている。高度人材に限ってきた原則を大転換し、一定の専門性や技能を持ち、日本語能力を身に付けた人向けに新たな在留資格を設ける。

 実質的な単純労働の解禁だ。当面は農業、介護、建設、宿泊、造船などを対象とし、25年頃までに50万人超の就業を目指すというが、いずれその職種は拡大されていくことだろう。

 だが、外国人政策は往々にして政府の思惑通りに進まない。来日したとしても、他国により条件のよい仕事があれば移っていく。他方、十分な受け入れ態勢を整えても、当て込む数が来るとは限らない。送り出し国も少子高齢化が進んでいるためだ。他の先進国も外国人労働者を必要としており、国際的な“争奪戦”にも勝たなければならない。

 しかも、コンピューターの普及で、多くの国で質の高い製品を簡単に造れるようになった。高額な渡航費用をかけて言葉の通じない極東の島国にまで行かずとも、母国に帰りやすい周辺国に仕事を見つけやすくなっている。いまや日本は「魅力的な国」というわけではない。1000万人単位で減る働き手世代を、全て外国人で“穴埋め”しようと考えるのなら無理がある。

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