「おうち食堂」で多角支援 派遣調理、問題点気付きも (1/2ページ)

「おうち食堂」を利用し、ボランティア(奥)が作った夕食を食べる女性と長男=東京都江戸川区
「おうち食堂」を利用し、ボランティア(奥)が作った夕食を食べる女性と長男=東京都江戸川区【拡大】

  • おうち食堂の仕組み

 東京都江戸川区は、食事を用意することが困難な家庭にボランティアを派遣し、無償で夕食を作って提供する「おうち食堂」に取り組んでいる。子供への食事支援は「子供食堂」が知られているが、おうち食堂は家の中に人が入ることで、食の事情とは別の問題にも気付きやすく、多角的な支援につなげる狙いがある。

 ◆栄養バランス良く

 7月、平日の午後5時半。江戸川区内に住む女性(42)の家の台所では、ボランティア(68)が手際よく料理する音が響いた。「おいしいご飯を作ってもらえてほっとする。栄養バランスも良くて助かります」。女性は、出来上がったはんぺんの揚げ物にかじりつく長男(3)の姿に目を細めた。

 女性は鬱病を患い、現在は無職だ。離婚していて生活保護を受給している。長男を産んだ後、育児に苦戦して追い詰められ、料理を作る気力もなくコンビニのお弁当やパンを食べる日々。長男はお菓子を与えればおとなしくなるので、ついあげてしまった。「栄養が偏り、長男は体調を崩すことも多かった」と振り返る。

 ◆保護者の同意得て

 江戸川区児童女性課の横山智哉主査は「子供食堂は区内にもあるが、情報が届かずに訪れていない子供もいると感じていた。そこで直接的に支援をしようと考えた」と話す。複雑な事情を抱える家庭は、行政の相談員などが訪問しても家に入れてもらえず、本音を聞けないケースも多い。

 そこで昨年8月、おうち食堂を開始。保健師や学校などから食事情が心配な家庭の情報を提供してもらい、区の職員が支援内容を説明する。保護者の同意を得たら週1回、年間48回を上限にサービスを利用してもらう。ボランティアは食材の買い出しや調理を担当。現在は約20世帯が利用している。

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