“命の値段”思惑錯綜 「1回5000万円」超高額の白血病新薬が承認間近 (2/3ページ)

小野薬品工業のがん治療薬「オプジーボ」
小野薬品工業のがん治療薬「オプジーボ」【拡大】

 薬価は原則2年に1度改定されていたが、オプジーボの登場を契機に、対象患者が拡大して販売額が急増した薬は「新薬が保険適用される年4回の機会を活用して値下げする」などにルールを変更。ルールに沿い、オプジーボは11月から100ミリグラム当たり約17.4万円となり、当初から7割以上の値下げが決まった。

 眼病治療には「1億円薬」

 超高額薬はオプジーボにとどまらない。スイスの製薬大手ノバルティスの日本法人は今年4月、オプジーボと同様に次世代のがん治療薬として開発が進む「CAR-T細胞療法」の製造販売の承認を厚生労働省に申請した。

 この療法は、遺伝子組み換え技術を使い免疫細胞を活性化させるもので、若年性の白血病などに効果が確認されている。米国では「キムリア」の製品名で昨年8月に承認され、欧州でも今年8月に承認を取得した。ただ米国では、投与1回当たり47万5千ドル(約5300万円)。厚労省によると、日本での同薬の患者数は250人程度とみられ、市場規模を100億~200億円と見積もる。

 そのほか、米国では、投与1回当たり4200万円のリンパ腫治療薬「イエスカルタ」や、両眼への投与1回当たり1億円近くにもなる遺伝性網膜疾患の治療薬「ラクスターナ」も出現している。

 「費用対効果」の手法、導入へ

 「現在の薬価制度では対応が難しい」。厚労省の担当者は新たな超高額薬の登場にこう懸念を示す。遺伝子組み換えや細胞を改変するこうした「バイオ新薬」は、開発費が大きく膨れ上がり薬価に反映されているという。

 しかし、保険が適用されるため、患者の一般的負担は3割。大半は高額療養費制度が適用され、数千万円の薬でも自己負担は年間100万円程度(所得に応じて異なる)となり、残りは公費負担だ。

費用対効果、用いるべきか