教職員8割が「ストレスや悩み」 勤務時間など対策求める 過労死白書

 政府は30日、過労死・過労自殺の現状や国が進める防止対策をまとめた2018年版の「過労死等防止対策白書」を閣議決定した。過重労働が顕著な重点業種として教職員や医療など5つを挙げている。全国の国公私立小、中、高などの教職員約3万5000人から回答を得た大規模調査では、80.7%が「業務に関連するストレスや悩みを抱えている」と回答。白書は長時間労働に加え、ストレス対策も重要と指摘した。

 ストレスや悩みの内容を複数回答で尋ねたところ、「長時間勤務の多さ」を挙げる人が最多の43.4%を占めた。「職場の人間関係」(40.2%)、「保護者・PTAへの対応」(38.3%)も多い。また「部活動の指導」は小学校ではわずかだが、中学は42.0%、高校で36.2%に上った。

 1日の平均実勤務時間は11時間17分。職種別でみると、最も長いのは「副校長、教頭」で12時間33分。1日8時間労働とすると、連日4時間半の残業をしていることになる。月20日間の勤務と考えると、「過労死ライン」の80時間を大きく上回る計算になる。

 過重勤務防止に向け必要な対策を尋ねると、教職員の78.5%が「教員の増員」と圧倒的。次いで多かったのは「学校行事の見直し」(54.4%)、「教員同士のコミュニケーション円滑化」(43.1%)。「校内会議時間の短縮」も38.8%を占めた。

 白書はストレスチェックを実施し、自身が抱えるストレスに早く気付いてもらうことや、職場ごとの分析結果を環境改善に生かすことが必要としている。

 白書は14年施行の過労死等防止対策推進法に基づいて公表。今回調査した重点5業種は他に自動車運転従事者やIT産業、外食産業で、今後は建設業とメディアも対象とする。国は週の労働時間が60時間以上となる雇用労働者の割合を20年までに5%以下とする目標を立てているが、17年は7.7%で前年と同じだった。