親と野球と相撲の話をしなくなる日、どうする「備え」と「その後」 (1/5ページ)

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 働き盛りの世代が逃げられないのが「実家をどうするか」という問題。面倒だと放置してしまうのは危険だ。早めに手を打つにはどうすればいいか。5つのテーマに応じて、各界のプロにアドバイスをもとめた。今回は「認知機能低下で家庭崩壊」について--。※本稿は、「プレジデント」(2018年9月3日号)の掲載記事を再編集したものです。

 5人に1人が認知症になる時代

 厚生労働省によると、全国における65歳以上の認知症患者数は2012年時点で462万人。2025年にはおよそ700万人、65歳以上の5人に1人が認知症になると推計されている。

 自分の親が認知症になる可能性も高い。ただ、突然その事実を突きつけられたらどうするか。お金だけを準備して施設に入れるのか、自身で率先して介護するのか--その場合、仕事と両立できるのか。

 「親の認知症、特に離れて暮らしている場合は“事件”がないと気づけないことがほとんどです」

 こう指摘するのはNPO法人「となりのかいご」代表理事の川内潤氏だ。川内氏は認知症に早期で気づくのは難しいと指摘する。「認知症と加齢によるもの忘れの違いは、専門家でないとなかなか区別がつきません。しかも、子どもの立場からすると『うちの親はまだ大丈夫』と信じたいし、親も子どもに心配をかけたくないので自分からは切り出せない。でも、その『大丈夫』を鵜呑みにすると、病気が進行するまで気づけないケースが多いです」。

 ただし、認知症の多くは「急になるものではない」と川内氏は断言する。認知症が原因となる迷子や徘徊、近所とのもめ事、金銭トラブルといった“事件”が起きる前に、「今までできていたことができなくなる」といった予兆があるというのだ。

 「少しでも『あれ?』と思う瞬間があったら、親の住所地を管轄する地域包括支援センターに相談してください。『本当に介護が必要になったら連絡しよう』などと先送りするのは禁物。あまり深く考えずに電話しましょう」

 そもそも、地域包括支援センターは地域の“よろず相談所”で、見守りや介護サービスに関する情報をたくさん持っている。早めにつながりをつくっておくと、今後の見守りや介護の態勢をつくるうえでも役に立つ。

 一方、気をつけたいのは、“事件”をきっかけに、親の認知機能低下に向き合うことになったときの対応である。

「どんなに厳しい状況でも、選択肢は常にあります」