【論風】進化する応急仮設住宅 トレーラーハウスを本格活用 (1/2ページ)

 熊本地震があった2年前の本欄で、熊本県益城町に日本初のトレーラーハウス「福祉避難所」30台が設置されたとお伝えした。今度は今夏の西日本豪雨災害の被災地・岡山県倉敷市で、日本初のトレーラーハウス「応急仮設住宅」が実現した。国は熊本地震での実績を踏まえ、トレーラーハウスを災害救助法の応急仮設住宅(以下、仮設住宅)として初めて認定した。(防災・危機管理ジャーナリスト・渡辺実)

3つの利点

 地震や水害で、突然あなたは被災者になる。やむなく指定避難所へと避難するだろう。その後、あなたの住宅が被災度認定で全壊・大規模半壊・半壊(居住が困難な半壊)と判定されれば、避難所から仮設住宅に移り住むことができる。光熱水道費は各自負担だが家賃は無料、期間は原則2年間である。実際は東日本大震災時の仮設住宅が7年半もの期間延長を続けている。仮設住宅は「建設型」と「借上型」がある。借上型は「みなし仮設」と言われ、被災自治体が空室の民間賃貸住宅を借り上げて被災者へ提供する。建設型は一部木造もあるが、プレハブ住宅が一般的である。

 この夏、国は第三の仮設住宅としてトレーラーハウスを認定した。建設型のプレハブ住宅に比べてトレーラーハウスの有意性は大きく3点。(1)戸建て住宅として独立し、機密性・断熱性など居住環境が優れている(2)プレハブ建設には1月半から2カ月の時間が必要だが、完成した住宅をトレーラーで牽引(けんいん)し被災地へ移動させるので数週間で設置できる(3)2年間のリース契約で設置し、期限がくれば被災地から撤収するので建設廃材やゴミが出ない。

 トレーラーハウス導入を決断した伊東香織倉敷市長はインタビューで「初の導入だったことから、国や県との調整などに時間が必要だった。しかし一日も早く仮設住宅を被災者へ提供するために導入を決断した」と話した。被災現地で事前に開いたトレーラーハウス内覧会に見学に来た被災者からは「仮設ではなくこの住宅にずっと住み続けたい」など厳しい避難生活の中にあっても笑顔を見せてくれた。入居日にも「やっと落ち着いて今後の生活再建のことを考えられる」と安堵(あんど)の笑みを浮かべる多くの被災者に出会えた。

戸別私有地への設置可能に

 9月6日には北海道胆振東部地震が発生、最大震度7を記録した厚真町や安平町などで多くの家屋被害が出た。この被災地でもトレーラーハウス仮設住宅の導入が決定した。災害救助法では仮設住宅を設置する場所は原則公有地とされている。

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