がんゲノム、検査体制拡充 厚労省、40拠点病院指定へ

 患者のがんの遺伝子を調べて最適な治療を選ぶ「がんゲノム医療」を全国で迅速に受けられるようにするため、厚生労働省は検査体制を拡充する方針を固めた。具体的には、遺伝子を分析し治療方針を決める役割を担う「拠点病院」を新設し、2019年度に約20カ所を指定する。最終的には約40カ所に増やす方針。

 遺伝子を分析する方法は「遺伝子パネル検査」と呼ばれ、患者から採取した組織を使い、数十~数百種類のがん関連遺伝子を一度に調べる。この検査は19年春にも保険適用となる見通し。

 厚労省は、遺伝子の分析、治療方針の決定のほか研究開発、人材育成などを行う「中核拠点病院」を11カ所指定している。患者の治療に当たる「連携病院」も全都道府県に135カ所指定済み。中核拠点病院の遺伝子分析で治療方針を決め、それに基づき連携病院が治療する仕組みが基本だ。

 ただ、保険適用で検査数が増えると患者に結果が届くのに時間がかかる恐れがある。そこで、中核拠点病院と連携病院の中間的存在として拠点病院を新設し、遺伝子の分析と治療方針の決定を担わせることにした。

 連携病院の一部を拠点病院に格上げすることを想定しており、詳しい要件は、19年度中に厚労省の有識者会議で決める。中核拠点病院か拠点病院のいずれかが、各都道府県に最低1カ所はあるようにしたい考え。

 現状では遺伝子分析で適切な治療法が見つかる患者は約1割。だが検査数が増えデータが蓄積されれば、新たな治療法の開発につながる可能性もある。現在、検査を受けられるのは、抗がん剤などの標準治療で効果がない患者に限られており、数十万円の費用がかかる。