【著者は語る】舟木彩乃氏 『「首尾一貫感覚」で心を強くする』


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 □ストレス・マネジメント研究者 舟木彩乃氏

 ■ストレスを軽減させる3つのポイント

 「首尾一貫感覚(SOC)」という言葉を聞いたことがありますか? 別名を「ストレス対処力」とも呼ばれ、文字どおり「ストレス」に対処するためのヒントとなる考え方です。

 今、さまざまな業界・企業で長時間労働やハラスメントによる社員の健康被害が問題となっています。一定規模以上の企業には、労働者へのストレスチェックが義務化され、働く人のメンタルヘルスは職場の重要な課題となりつつあります。部下に過剰なストレスを与えず、いかに気持ちよく働いてもらうかということに腐心している管理職も多いと思います。管理職自身も一般社員と同程度のストレスを感じているという調査結果もあり、複雑な状況です。

 私は都内の医療施設などでカウンセリングをしていますが、企業規模や役職に関係なく職場の人間関係や自分の将来に不安を抱き、ストレスに押しつぶされそうになって相談にこられるクライアントが少なくありません。その悩みも、会社や仕事にとどまらず、家族など個人的な事情が複合的に絡み合っていることが多いようです。そんなとき、大きな力になってくれるのが、「首尾一貫感覚」です。

 もともとは1970年代に医療社会学者のアーロン・アントノフスキー博士(1923~94年)が提唱しました。戦時中、ナチスドイツの強制収容所に収容され過酷な体験をした女性たちの中には、戦後も生き延び、更年期になってもなお良好な健康状態を維持し続けた人々がいました。博士は、そうした“健康的で明るい”女性たちに共通する考え方や特性を分析し、それを「首尾一貫感覚」と名づけたのです。これは大きく3つの感覚からなっています。

 (1)把握可能感(=「だいたいわかった」という感覚)。自分の置かれている状況や今後の展開を把握できると感じること。

 (2)処理可能感(=「なんとかなる」という感覚)。自分に降りかかるストレスや障害にも対処できると感じること。

 (3)有意味感(=「どんなことにも意味がある」という感覚)。自分に起こることには意味があると感じること。

 では、3つの感覚を高めるにはどうすればよいのか。その方法や実例、体験メソッドをまとめた本書を通じて、一人でも多くの方のストレスを軽減することができればと思っています。(842円、小学館新書)

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【プロフィル】舟木彩乃

 ふなき・あやの ストレス・マネジメント研究者。千葉県出身。10年以上にわたってカウンセラーとして延べ8000人以上、コンサルタントとして100社を超える企業の相談に対応。一般企業の人事部や国会議員秘書などを経て、2015年に筑波大学大学院に入学し、17年に修士課程修了。現在、ヒューマン・ケア科学専攻(3年制博士課程)に在籍。研究の一環として、産業や医療の現場でカウンセリングを行う人工知能(AI)・ロボットの開発にも参加している。2017年度「文理シナジー学会学術奨励賞」を受賞。本書が初めての著書となる。

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 本書の出版を記念し、舟木彩乃さんの特別講座を東京・大手町の産経新聞社で12月4日に開催。申し込みは、産経iDのイベントページ(https://id.sankei.jp/e/360)から。