「直感で資産運用」が成功しないのは脳にあった! (4/4ページ)

 プライベート・バンカーからの4つの助言

 待ったをかけたのが、彼らが信頼し資産運用を長年任せてきたプライベート・バンカーでした。妻の両親は、次のような助言をもらったそうです。

 ●過去の金融危機でも株価は大きく下落したが、やがて回復している

 ●今回も一時的な下落であるなら、損失も一時的なものに留まる

 ●株価が大きく下がっている今売ると、一時的であるはずの損失が確定してしまう

 ●手元のお金に余裕があれば、割安で追加投資をする大きなチャンス

 妻の両親は、さすがに追加投資をする勇気はなかったものの、プライベート・バンカーを信じ、資産運用をやめないことにしました。すると株価はますます下落し、やがて資産の評価額は下がり、ますます不安が募ります。腹をくくって様子を見ていると、ご存じの通り株価は上向き、2年後にはリーマン・ショック前の水準に戻りました。リーマン・ショックから9年経つと株価は元の水準の2倍以上になりました。

 もし運用をやめていれば、資産は30%低い水準だった

 プライベート・バンカーは、「損をしたくない」という妻の両親の感情を上手にコントロールし、「長期・積立・分散」の資産運用を成功に導いてくれました。助言がなければ、妻の両親はパニックのあまり資産運用をやめ、20年近く続けてきた資産運用の成果をふいにしてしまったでしょう。

 もちろん、助言を無視して、資産運用を中断していたとしても、その後、資産運用を永遠に再開しないということはなかったとは思います。底値で再開できるようならリターンも高くなりますが、底値で資産運用を再開できるくらいなら、そもそもパニックに陥ることもありません。

 リーマン・ブラザーズの経営破綻を見て株価が約30%下がったタイミングで資産運用を中断し、その後、株価がリーマン・ショック前の水準に戻った2011年1月くらいのタイミングで再開するのが現実的ではないでしょうか。その場合には、2017年9月末には資産はリーマン・ショック前の約1.6倍となります。これは、アドバイザーの助言に従って何もしなかった場合と比べると、約30%低い水準です。やはり、助言に従って何もしなかったのが正解だった、ということになります。

 柴山 和久(しばやま・かずひさ)

 ウェルスナビ代表取締役CEO

 2015年4月にウェルスナビ株式会社を設立。2016年7月にロボアドバイザー「WealthNavi」、2017年5月におつり資産運用アプリ「マメタス」をリリース。2018年8月に預かり資産1000億円、申込件数13万口座を突破。起業前には、日英の財務省で合計9年間、予算、税制、金融、国際交渉に参画。その後マッキンゼー・アンド・カンパニーに勤務し、ウォール街に本拠を置く10兆円規模の機関投資家を1年半サポート。東京大学法学部、ハーバード・ロースクール、INSEAD卒業。ニューヨーク州弁護士。

 (ウェルスナビ代表取締役CEO 柴山 和久 写真=iStock.com)(PRESIDENT Online)