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遠隔地の体験共有する“分身”ロボットの可能性 旅も仕事も「今すぐここで」 (2/4ページ)

 そんなテレイグジスタンスロボットの起源は、1980年までさかのぼる。東京大学名誉教授の舘ススム(ススムは日へんに「章」)さんがテレイグジスタンスを提唱し、システム開発をスタート。1989年には、操作者の動きを反映して動く人型ロボット「TELESAR」を開発し、改良を進めてきた。当初は、操作者用の装置とロボットを有線接続して動かしていたが、商用化に向けてTelexistenceが改良した際、今のようにインターネット経由で人間の動きを反映する仕組みに変更したという。

 仕組みの変更は、KDDIがTelexistenceに出資するきっかけにもなった。KDDIの中馬和彦さんによると、同社はTelexistenceの富岡仁さん(共同創業者兼CEO)がKDDI傘下のSupershipに勤めていた縁で、以前からテレイグジスタンスロボットを知っていたが、「テレイグジスタンスロボットに通信機器としてのポテンシャルが生まれた」ことが、本格的な支援につながったという。

 遠隔操作を生かした「働き方改革」の可能性

 中馬さんは、テレイグジスタンスを「遠い場所の映像や感覚を、あたかもそこにいるかのように感じられる汎用(はんよう)的な技術」と説明する。旅行体験はあくまで活用アイデアの1つであり、「メインの使い道は別にある」という。

 中馬さんが考える「メインの使い道」とは、働き方改革だ。ロボットを活用した働き方改革には、決まった動きをロボットに代行させて自動化する取り組みもあるが、「欠品商品の在庫だけを補充する」といった業務はパターン化が難しく、単純にロボットで置き換えることはできないという。しかし、テレイグジスタンスロボットを使えば「例えば東京にいる人が、沖縄のコンビニの棚を補充することもできる」と見込んでいる。

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