米グーグル、中国再参入「現時点で計画ない」 ピチャイCEO証言

米グーグルのピチャイCEO(AP)
米グーグルのピチャイCEO(AP)【拡大】

 【ワシントン=塩原永久】米ネット検索大手グーグルのピチャイ最高経営責任者(CEO)は11日、米下院司法委員会で証言し、「現時点で中国で検索事業に乗り出す計画はない」と述べ、中国進出の可能性を否定した。中国当局の検閲に対応した検索エンジンを用いた参入計画が今夏に報じられ、従業員や議員らから批判されていた。

 ピチャイ氏は現段階で中国政府と事業展開をめぐる協議をしていないと明言。一方で、社内の取り組みとして「一時期、(中国再進出の)計画を進めた」と認め、計画に携わった従業員が百人以上に上ったことを明らかにした。

 グーグルは2010年、検閲をめぐる中国当局との対立で同国から撤退した。だが、米メディアが今年8月、中国向けの「ドラゴンフライ」と呼ばれる検索エンジンの開発を進めていると報道。人権活動家や従業員が反発したほか、ペンス副大統領は10月に行った対中政策演説で、「ドラゴンフライの開発を即座にやめるべきだ」と計画停止を迫っていた。

 「プラットフォーマー」と呼ばれる巨大IT企業をめぐっては、個人情報の漏洩(ろうえい)問題などをめぐって批判が高まっており、米議会には新規立法を含めた規制強化を求める機運がある。

 ピチャイ氏は「技術の活用と発展に向けてルールを策定する政府の役割が重要だと認識している」と指摘し、連邦政府による立法措置に向けた議論に積極的に関与する姿勢を示した。

 ピチャイ氏の議会証言に際して、共和党のルビオ上院議員が11日に声明を発表し、中国向け検索エンジンの開発を進めれば「グーグルは中国で抑圧される側ではなく、抑圧する側に立つことになる」と指摘した。