高論卓説

外国人就労拡大、受け入れ理念と社会統合制度が不可欠 (3/3ページ)

 特に、要となる外国人との共生社会実現のための「基本法」は、絶対に必要なものだった。政府は、来週にも124の施策からなる総合的対応策を閣議決定する予定だが、同対応策によって外国人と相対する自治体や公立学校、国際交流団体やNPO(民間非営利団体)などが、必要な人員と予算を確保できるのだろうか。

 地域の住民は、その取り組みに納得し安心して外国人を受け入れるだろうか。国が、受け入れる自治体、企業に専ら責任を負わせたり、ボランティアに期待すると現場放棄をしたりすることはあるまいか。

 今からでも遅くはない。政府は外国人受け入れの理念を提示するとともに、諸外国の実例を参考に予算、法律に裏付けられた社会統合制度の整備を急ぐべきである。

【プロフィル】井上洋

 いのうえ・ひろし ダイバーシティ研究所参与。早大卒。1980年経団連事務局入局。産業政策、都市・地域政策などを専門とし、2003年公表の「奥田ビジョン」の取りまとめを担当。産業第一本部長、社会広報本部長、教育・スポーツ推進本部長などを歴任。17年に退職。同年より現職。東京都出身。

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