著者は語る

日本の構造研究所代表・中田宏氏 『外食力』 (2/2ページ)

 そして、日本が世界から評価される「おもてなし」文化が、外食の価値向上を妨げる要因となっている。ディナータイムにサービス料をとる店もあるが、日本では「無償のおもてなし」が美徳とされてきた。客に尽くすあまり、適正な対価を求めてこなかった。

 だが外食は、いまや日本社会が抱えるさまざまな問題を解決する先進的な産業でもある。少子高齢化で女性やシニア、外国人の活躍、または「働き方改革」に注目が集まるが、外食では既にかなり進んでいる。これは外食が、硬直的な日本の労働市場において「Do Over(やり直し)」ができる産業であることが大きい。

 お家芸だった電機メーカーなどが海外勢に買収される中、外食の一部門でアジアトップに躍り出た企業もある。ITやロボットの導入も進み、インバウンドや地方創生で果たす役割も大きい。執筆にあたり、北海道から鹿児島まで規模もさまざまな外食企業を訪れた。外食の本当の今を、読者と共有したい。(1296円、ブックマン社)

【プロフィル】中田宏

 なかだ・ひろし 1964年生まれ。93年から衆議院議員を通算4期、2002年から横浜市長を2期務める。現在はシンクタンク「日本の構造研究所」代表の傍ら、各地で講演活動を行う。「ウェークアップ!ぷらす」(日本テレビ系)などのテレビ番組、You Tube(ユーチューブ)「中田宏チャンネル」で政治、経済について解説するほか、著書も多数。

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