酷暑、災害…大阪市の救急車出動、過去最高更新へ

患者を搬送する大阪市消防局の救急隊
患者を搬送する大阪市消防局の救急隊【拡大】

  • 大阪市の救急件数の推移

 「タクシー代わりに救急車を呼ぶ」などと悪評の高い大阪市で、今年の救急車の出動件数が前年を1万件以上も上回り、過去最高を更新する見通しであることが22日、同市消防局への取材で分かった。記録的な酷暑に地震、台風などの災害が積み重なったためとみられ、7月には、一時的ながら全救急車の93%が出動状態だった日も。市消防局は「本当に搬送が必要な人を速やかに運ぶため」と救急車の適正利用を呼びかけている。

(木ノ下めぐみ)

 市消防局によると、平成30年の救急車の出動件数は、11月末時点で22万1330件(速報値)。前年に比べて約1万3千件も上回っていた。年間で過去最高だった昨年は、1年間で22万9013件の出動だったが、更新は確実。さらに「昨年までは、年々2千件程度の増加だったが、大幅に増える」(市消防局救急課)見通しだ。

 「もともと高齢者の増加にともない、年々、救急要請や搬送者は増加するとみている」(同課)が、前年と最も差が大きかった今年7月は、1カ月だけで3500件も増えていた。「特に今年は猛暑だったため、高齢者を中心に、救急車を呼んだ人が多かったと考えられる」(同課)

 加えて今年は大阪北部地震(6月)や台風21号(9月)など、規模の大きな災害がたびたび大阪を直撃したことも救急車の出動件数を増やしたとみられる。

 救急車の稼働が、最も“危機的”な状況となったのが7月23日。埼玉県熊谷市で史上最高の気温41・1度を記録した日で、大阪市内でも、最高気温37・2度の猛暑日だった。

 熱中症を訴える救急要請が相次ぎ、午前10時半ごろと午後4時ごろの2度、市内に63台ある救急車のうち59台(93・7%)が出動状態となった。

 「半数の救急車が出動した日は『多い』と思う」(救急課担当者)。ところが、「これまでに見たこともないほどの出動数。とにかく対応できない状況にならないよう苦心した」(同)。現場から現場へ「はしご」出動させるなどして何とか乗り切った。

 この日1日だけで、計843人を搬送。救急課の担当者は「常に救急要請の傾向や救急車の動態管理を行い、増加が見込まれる場合は現場からの速やかな引き揚げを呼びかけるなどして非常時に対応していきたい」と話す。

 市消防局は、119番する前に、市民からの医療相談などを受け付ける「救急安心センターおおさか」(電話番号#7119)の利用を呼びかけるなどしており、救急課は「救急車は、要請されれば出動する。『呼ばないでほしい』といっているのではなく、本当に救急車を必要とする人を速やかに搬送するために、適正な利用に努めてほしい」としている。