結果を出す組織のつくり方、サッカー日本代表前監督・西野朗氏に聞いた (1/5ページ)

サッカー日本代表前監督 西野 朗氏
サッカー日本代表前監督 西野 朗氏【拡大】

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 ロシアW杯で、下馬評を覆すベスト16に進出したサッカー日本代表。チームを率いた西野朗前監督は限られた時間でどのような戦略を考え、勝利に導いたのか。単独インタビューから、結果を出す組織のつくり方を聞いた--。

 監督就任時、描いていたチーム像

 --ロシアW杯2カ月前での監督就任でした。就任要請を受けられたとき、どういったチーム像を描いていましたか?

 2018年に入って、必ずしも代表チームの状態はよくはなく、さらに突然の監督交代でチームが混乱していた。本来であればW杯に向けて4年間準備をして臨むのに、極めて短い期間でチームをつくらなければならない。本来はいろいろテストもしたかった。でも、できない。だからこそ監督の就任要請を受けたときは、チームを“激変”させなければいけないと考えていた。

 とはいえ、チームというのは生き物。そう簡単に変えることはできない。変えることにはじめから自信があったわけでもない。それでも日本代表に集まっているメンバーであれば、チームを変えられる可能性があるとは思っていた。選手個々のタレントは非常にレベルが高く、ヨーロッパで活躍している選手も多い。世界のトップクラブで揉まれているメンバーもいる。

 だからこそ、アプローチの仕方によってはチームを大きく変化させられると期待していた。

 選手同士で化学反応させる

 --実際にワールドカップ前、最後の強化試合だったパラグアイ戦で逆転勝利し、チームの状態は上向きはじめます。チームを“激変”させるために、どのようなことをされていましたか?

 まずは改めて、自分が選考した選手をリスペクトし、持っている能力やスキルを最大限に引き出そうとした。幸い、監督に就くまでの2年間、技術委員長という立場で、チームを側面からサポートする立場だったので、各選手のことはわかっていた。

 力を引き出したうえで、個と個で化学反応を起こさせ、それまでとは違うパフォーマンスを生み出す。そうすることで、本番で強豪国に通用するプレーの選択肢を増やしていく。チームづくりは、その作業の繰り返しだった。一朝一夕にはできないが、ここがチームの生きる道だと、短期間でもその積み上げを行っていた。

 選手の能力を最大限に引き出す

 --どのようにして、個人のパフォーマンスを引き出したのでしょうか?

 シンプルにコミュニケーションの量を増やした。自分が思い描く代表のチーム像を選手に伝え、選手からも主張を聞く。スタッフと選手を集めた全体ミーティングでも、一対一でもよく話をするようにしていた。

 全体ミーティングは午前・午後の練習後など1日に数回行い、「おまえはどう思う?」と場面ごとにすべての選手に発言をさせた。誰かが意見を言うと、ほかの選手からも「俺はこうしたい」「こういう場合、俺ならこうする」と声が挙がる。

 発言をさせることで、チーム皆が各選手が何を考えているのかわかるし、発言したことで主張した選手にもプレーへの責任が生まれる。チームの風通しをよくして、お互いの主張も聞き入れ、要求もしていくという雰囲気をつくるようにしていった。

その場では結論を出さない