「道路が狭くて困っておるぞ」ユーモラス口上で市長責める、栃木・鹿沼で強飯式

ひれ伏す神職らの首を責め棒で押さえつける強力(右)。左に立つのは山伏=栃木県鹿沼市上粕尾の発光路公民館
ひれ伏す神職らの首を責め棒で押さえつける強力(右)。左に立つのは山伏=栃木県鹿沼市上粕尾の発光路公民館【拡大】

  • ひれ伏す神職らを責めるわらだすき姿の強力(右)。左に立つのは山伏=栃木県鹿沼市上粕尾の発光路公民館

 山伏と強力が高盛り飯を食べるようにしいるユーモラスな口上の伝統行事「発光路(ほっこうじ)の強飯式(ごうはんしき)」が3日、栃木県鹿沼市上粕尾の発光路公民館で開かれ、集まった地元住民らを沸かせた。近くの妙見神社の神事で、国指定無形民俗重要文化財。

 神職や氏子、招待客の前に飯が円錐(えんすい)形に盛られた椀(わん)が乗った膳が出され、地元住民が扮(ふん)する着飾った山伏と、約30キロのわらだすきを着た強力が「酒なら33杯」「湯が5杯」「強飯75膳がお定まり」「一粒(いちりゅう)一菜でも許しはないぞ」と責め立てた。佐藤信市長に対しては「この地域は道路が狭い。遠方からの観光客も困っておるぞ」と要望も加え、見物客らの笑いを誘った。

 埼玉県越谷市から来た団体役員、浜野清さん(79)は「初めて見たが、迫力がある。今度は友達を連れて来たい」と驚いた様子で、保存会の木村啓三会長(63)は「市長には無礼もあったが、口上は強力役にお任せで、毎年違う。少子化で継承は大変だが、神社の祭礼を兼ねた行事なので伝統を守っていきたい」と話した。