【書評】『ある世捨て人の物語』マイケル・フィンケル・著、宇丹貴代実・訳 

 ■自由や幸福の在り方を考える

 27年間、誰にも知られず、森に1人で暮らした男性がいた。それも現代の米国に-。“現代の隠者”を取材したドキュメンタリー。

 男性の名はクリストファー・ナイト。2013年に窃盗などで逮捕されるまで、米メーン州の人里近くの森に隠れ住んでいた。

 本書には、冬場はマイナス30度にもなる森でどのように野外生活を営んでいたのかや、森で暮らしていた理由などが記されている。

 ナイトの考え方は独特かつ偏狭だが、どこか筋の通った部分もある。

 人間にとって、自由とは何か、幸福とは何かを、改めて考えさせられる一冊だ。(河出書房新社、1998円)