鬱の認知療法、IT併用で短期間で効果

 医師らとの面接を通じて患者が自分の考え方の癖を修正する「認知行動療法(認知療法)」は、鬱病の治療に有効とされているが、取り組む治療者が少なく、患者のニーズに応え切れていないのが課題。

 そこで中川敦夫慶応大特任講師(精神医学)らのチームは、インターネットを活用するIT認知療法と面接を組み合わせた新プログラムを開発。鬱病患者に受けてもらったところ、薬物のみの治療より高い効果が確認できたとする研究結果をまとめた。

 チームは、抗鬱薬による治療を6週間続けても症状の改善がみられない患者計40人を無作為に半分に分け、12週間、全員に薬物治療は続けつつ、半数に新プログラムを上乗せした。

 新プログラムの面接は1回約50分で週1回。患者は、次の面接までの間に自宅などでネット上の指示に従い日々の活動を記録するなどした。終了後、鬱病の症状がほぼなくなった人は新プログラム群で40%いたが、薬物療法のみの群では5%にとどまった。