著者は語る

武元康明氏 『30代からの「異業種」転職 成功の極意』

 □半蔵門パートナーズ代表・武元康明氏

 ■会社を超え外部から必要とされる備えを

 なぜ、いま30代からの異業種転職なのか。それは“人生100年時代”におおいに関係しています。100年生きると仮定すると当然ながら働き方も大きく変わります。これまで私(50歳)の世代は就業40~45年と考えるのが一般的でした。しかし、今の若手世代はその1.5倍の60年となり、ひとつの会社や同じ業界で黙々と働き続けるのではなく、いくつもの会社を渡り歩く流動的なスタイルになることが確実です。

 もうひとつの要因に、企業の体力の問題があります。日本企業の特徴として、かつては「株式の持ち合い」がありました。系列企業同士がお互いの株式を持ち合うことで、株主への利益還元よりも長期的な視野に立った安定経営ができるというメリットがあったのです。

 この日本型経営の根幹が経済のグローバル化によって劇的な変化を遂げています。それにより、かつて日本企業の「強さ」の秘訣(ひけつ)だった終身雇用制を維持する体力がなくなってきたのです。

 異業種転職が必要になってくる時代的背景や企業側の事情については以上ですが、ではなぜ「30代」からなのか。

 社会人経験を10年近くこなして、経験が豊かになる。その過程でトライ・アンド・エラーもあり、経験値の積み重ねにより仕事面でのデータベースがある程度でき、価値観も固まりつつある頃です。価値観が固まると自らを客観視できるようにもなる時期だと思います。

 就業60年時代になると実際に転職するとしないにかかわらず、会社を超えた「外部からも評価される人材」になっておく必要があります。

 その備えはできれば20代からしておきたい。30代がまさに最初のチャンスといえる時期なのです。

 求められる能力は職種や業界、あるいは勤務先企業によって異なります。企業経営も働き方も多様化するなか、他人と比較せず、自分の能力や志向、性格に合ったキャリアを模索していく努力が大切になります。

 時代が移り変わる時こそ「面白い!」と私は思います。いまは正に時代の転換期。「時代を超えていく人材」となって、この転換期の交差点を思いきり楽しんでみてはいかがでしょう。その足掛かりとして本書をお読みいただければ幸甚です。(1450円+税 河出書房新社)

【プロフィル】武元康明

 たけもと・やすあき 1968年生まれ。石川県出身。航空業界を経て、98年に人材ビジネス業界へ転身。21年間の人材サーチキャリアを持つ、経済界と医学界における世界有数のトップヘッドハンター。クライアント対応から候補者インタビューまで幅広く手掛け、全国各地を飛び回る。テレビドラマ監修をはじめ、CM出演、大学のビジネスキャリア・講師などとしても活動中。2003年サーチファームジャパン設立に参加。社長、会長を歴任後、現職。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus