何歳からはじめても遅くない スタンフォード式「心の免疫力」の鍛え方 (2/4ページ)

佛母寺住職の松原正樹氏。スタンフォード大学やグーグル本社で心の鍛え方を教える
佛母寺住職の松原正樹氏。スタンフォード大学やグーグル本社で心の鍛え方を教える【拡大】

  • 松原 正樹(著)『心配事がスッと消える禅の習慣』(アスコム)

 心の安定を保つ「レット・イット・ゴー」

 しかし、その感情や思考にとらわれないことが、心を安定に近い状態に保つためには必要です。そのための「レット・イット・ゴー」なのです。

 感情や思考は、水を注いだときにできるあぶくのようなもの。姿を見せるのは一瞬で、本来であればすぐに消えてなくなります。それなのに、私たちはわざわざあぶくをすくい上げ、消えないようにあれやこれやと手を尽くしてしまうからややこしくなる。わざわざ、自分でややこしくしているのです。

 「メールの返信がこないな。何か気に障(さわ)ることしたかな」。ここで、「でも、すぐに返信できないこともあるか」と考え、レット・イット・ゴーできれば心配事の種は芽生えません。もし続けて、「あの表現が悪かったのかな。ちょっと責めるような感じが出ちゃっていたかな」と考えても、「返信を待って、それで判断しよう」とレット・イット・ゴーできればいいのです。

 最初は無理やりでも、習慣にしていくうちに、これが自分の思考のクセとして定着してきます。体の筋トレと一緒で、習慣化させるのが大事です。

 筋トレを続けて少しずつ筋肉がついていくと同時に、それによって基礎代謝が上がれば免疫力が高まっていき、風邪をひきにくくなるなど、病気を遠ざけることができます。

 これと同じで、レット・イット・ゴーを習慣化させることで「心の免疫力」も上げていくことができると私は考えます。

 他人に振り回されない人の特徴とは

 何が起きても動じず、他人に振り回されない生き方をしている人は、「心の免疫力」が高い人、ともいえるでしょう。

 心配や不安といったネガティブな感情にとらわれそうになっても、「心の免疫力」がついていれば、手放すことが容易になります。以前なら心配しすぎて何日も寝込んでいたけれど、心の免疫が上がっていくことで、一日寝れば回復し、それが瞬間的な発熱で済むようになり、そのうち自然と「レット・イット・ゴー」できるようになっている。そんなイメージです。

 60歳、70歳になっても筋トレの効果はあるように、「心の免疫力」も年齢に関係なく、誰でも鍛えることができます。

湧き上がってくる感情をあっさり手放す