ローカリゼーションマップ

海外事情を語れるビジネスマン減少 日系企業の「文化音痴」を危惧 (1/4ページ)

安西洋之

 【安西洋之のローカリゼーションマップ】今から8年前に出版した『「マルちゃん」はなぜメキシコ国民食になったのか?』では、日系大手企業の海外市場向けのさまざまなローカリゼーション事例を紹介した。

 その1つとして欧州市場における白物家電を取り上げ、パナソニックの家電事業を担う社内カンパニー、アプライアンス社の海外マーケティング本部・斉藤哲志さん(所属は当時)にインタビューした。そこで日本との大きな違いとして、欧州では冷蔵庫と洗濯機は別のカテゴリーであるとの指摘があった。

 日本において冷蔵庫は疑いもなく機能商品である。「冷やす」機能以外にも、自動製氷・パーシャル冷凍・真空チルドなど、付加機能が盛りだくさんにある。

 しかしながら、欧州の冷蔵庫は洗濯機と同列に並べられる機能商品ではない。インテリア商品寄りに扱われる。それゆえ基本性能の「冷やす」の次に重視されるのは、外装のデザインと収納性である。キッチンのインテリアに馴染むように、冷蔵庫を扉で囲むとのデザインも一般的になる(ホテルの部屋にあるミニバーの扱いを思い出すと分かりやすい)。

 他の家電製品、特にオーディオ系の製品はローカライズがさほど求められないのに対して、白物家電は地域の文化性が強く出る。殊に洗濯機に「グローバル製品」はない。それぞれに地域に強いメーカーが市場を安定的に握っている。

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