哲学で証明「ゾゾ前澤社長1億円ばらまき」の功罪 3つの基準から考察 (3/5ページ)

【倫理観:自分に幼児がいる場合、おぼれている人を助けるのは正しいとはいえない】

 わかりやすくいうと、その人がどういう人かによって、正しさが変わるということです。たしかに、一般にその行いは善だとか悪だとかいえないケースがあります。先ほどのおぼれている人を助けるケースもその一つです。自分に小さな子どもがいるのに、あえて命を捨てる覚悟で見知らぬ人を助けるのは絶対正しいとはいえないはずです。もしその人がライフセイバーか何かで、それを仕事としているなら話は別ですが。あるいは、自分の子どもがおぼれているなら、当然助けるべきでしょう。

3つの基準からグレーな問題を考察する

 この基準が一番現実的な感じがしますが、反対にいうと、基準が不明確になるということでもあります。だからどの基準がベストだとは一概にいえないのです。理想は、どの基準に照らしても正しいとされることを善、そうでないことを悪とするやり方だと思います。この世にはまともな人間の考えを重視する人、効用を重視する人、その人の立場を考慮する人など、様々な価値観を持った人がいますから、そうして総合的に判断するのが一番なのではないでしょうか。

 具体的にどうすればいいのか、法律や倫理規定ではまだ明確に善悪が定められていないグレーな問題、まだ議論が進んでいない新しい問題について、先ほどの三つの基準に照らして考察してみます。

 ウォーミングアップ代わりに、まず最近のニュースからみなさんよくご存じのこのケースを考えてみましょう。

「ゾゾ前澤社長の1億円ばらまき」の功罪