iPS移植 「何重もの対策準備」 慶大チーム、都内で会見

iPS細胞を使った脊髄損傷治療の臨床研究について会見する慶応大の岡野栄之教授(左)と中村雅也教授=18日午後、東京都新宿区(佐藤徳昭撮影)
iPS細胞を使った脊髄損傷治療の臨床研究について会見する慶応大の岡野栄之教授(左)と中村雅也教授=18日午後、東京都新宿区(佐藤徳昭撮影)【拡大】

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使って脊髄損傷患者を治療する初の臨床研究が国に了承された慶応大のチームが18日、都内で会見し、岡野栄之教授は「平成10年に研究を始め、やっとスタートラインに立てた。早く安全な治療法を患者に届けたい」と意気込みを語った。

 iPS細胞から作った細胞は、がん化の懸念があることについては「第1例は何が起こるか分からない。何重もの対策を準備し慎重に実施する」と強調した。

 移植手術を執刀する中村雅也教授は「既に神経のもとになる細胞の準備を始めているが、患者の募集や最初の手術は秋か冬ごろになるだろう」と説明した。

 また、中村教授は「今回の4人の臨床研究全てで安全が確認できれば次の段階に進むことができる。2~3年以内には、慢性期の患者でも安全性や有効性を確かめたい」と展望を語った。