コンピューター断層撮影(CT)を用いた肺がん検診を受けた市民は、肺がんによる死亡率が5割減少したことが茨城県日立市の住民対象の研究で分かった。肺がんは難治療のがんに数えられ、日本ではがん種別で男女合わせた死亡数で最も多い(平成29年)。CT検診によってがんの早期発見につながり、死亡率を大幅に下げたとみられ、研究結果は全国の検診のあり方に一石を投じそうだ。(大家俊夫)
◆小さい病変でも発見
日立総合病院呼吸器内科の名和(なわ)健医師が日立市の協力を得て実施し、今月8日、茨城県日立市で開かれた第26回日本CT検診学会学術集会で発表した。
日立市民を対象とした同研究は平成10年から18年までの間、一般的なCTよりも低被曝(ひばく)の「低線量CT検診」を1回以上受けた1万7935人(男性9790人、女性8145人)とエックス線検診のみ受けた1万5548人(男性6526人、女性9022人)を比較し、24年までの肺がんによる死亡の割合を調べた。
その結果、死亡率でCT群はエックス線群より51%減少することが判明した。この結果は今月、学術誌「ジャパニーズ・ジャーナル・オブ・クリニカル・オンコロジー」に掲載された。