がんを子供に伝える絵本「ママのバレッタ」 (1/2ページ)

絵本「ママのバレッタ」をいっしょに読む田中聡子さん(右)と長女の沙羅さん
絵本「ママのバレッタ」をいっしょに読む田中聡子さん(右)と長女の沙羅さん【拡大】

  • 「ママのバレッタ」

 子育て世代のがん患者が交流する一般社団法人「キャンサーペアレンツ」のメンバーらが、抗がん剤治療に取り組む母と娘の日常を描いた絵本「ママのバレッタ」を出版した。国立がん研究センターの推計(平成27年発表)では、18歳未満の子供を持つがん患者が、1年間に約5万6000人ずつ発生するとされる。子供にがんを伝える際のツールとしても注目を集めている。(加納裕子)

 絵本は「ママが、がんになった」との一文から始まる。抗がん剤治療を始めて自慢の長い髪が抜け、髪を束ねるバレッタを使えなくなってしまったママ。小学生の娘の視点で、親子のやりとりや日常を描く。最初は悲しんでいたママも、季節の移り変わりとともに帽子やウィッグ(かつら)を楽しむようになっていく。

 絵と文を担当した京都市南区の主婦、田中聡子さん(49)は「がんがテーマだから笑っちゃだめということはない。重くならずに親子で気軽に読めるよう、クスッと笑える部分を多く作りました」。

 田中さんは10年前、39歳のときに会社の健診をきっかけに大腸がんのステージ4と診断された。当時、長女の沙羅さんは4歳。手術で入院するときに、「おなかに悪いものができて切るから、1週間くらい入院するね」と説明したという。

 だが、手術後も吐き気など抗がん剤治療の副作用で苦しむ姿を見て、沙羅さんは「死なないでね」と言うように。田中さんは「きちんと説明しなければ、余計につらい思いをさせる」と判断、診断から約3カ月後にがんという病名や、薬のせいでしんどいこと、でも絶対に元気になることを伝えた。現在は寛解。14歳になった沙羅さんは「絶対治ると信じてました。入院するとなかなか会えなくてさみしかったけど、頑張ってほしいとずっと思っていました」と振り返る。

 「キャンサーペアレンツ」は平成28年4月に発足し、子育て世代のがん患者が交流。メンバーの発案で、29年に「絵本プロジェクト」がスタートした。メンバー14人で企画・制作から助成金集め、出版社との交渉などを分担し、昨年11月に第一弾の「ママのバレッタ」の出版が実現した。

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