ユニセフ報告会 南スーダンの現実に関心を

 国連児童基金(ユニセフ)の現地報告会が、東京都港区のユニセフハウスで開かれ、ユニセフ・南スーダン事務所で活動している桑田弘史さんが、民族間の紛争が続き、医療、教育などに大きな問題を抱える同国の現状を説明した。

 報告会は2月26日、アフリカ開発会議(TICAD7)が8月に横浜市で開催されるのを記念して開催された。

 桑田さんは昨年9月から同国で活動している。食糧不足で国民の10人に6人が十分な食事を取れないことや、軍や武装勢力に関係している子供が1万9千人以上いること、学校や教師が足りず就学率は30%を下回っていることなど、現地の写真を示しながら説明した。

 川の水を直接飲んでコレラにかかる人も多く、衛生に関する知識の欠如が感染症の流行につながっているという。医療に関しては「ワクチンが足りないことで、防げる病気で多くの子供が亡くなっている」と語った。

 支援活動自体も困難に直面している。治安が悪いことに加え、道路がほとんど整備されていないため現場まで行くのが難しく、資金不足も深刻だ。

 こうした状況下でユニセフは、栄養不良の子供のケアや浄水場の建設、軍などに関与している子供の社会復帰支援などに取り組んでいる。桑田さんは「南スーダンの現実に関心を持ってほしい。いろいろな紛争地域を見てきたが、これほど強くそう思ったのは南スーダンが初めて」と訴えた。

 南スーダンは2011年にスーダンから独立した新しい国。13年の紛争以来、混乱が続き、450万人以上が家を追われている。