【ローカリゼーションマップ】決断の遅さに欧州企業はウンザリ? 日本企業の「見ない文化」の問題点 (3/3ページ)

※画像はイメージです(Getty Images)
※画像はイメージです(Getty Images)【拡大】

 欧州の交渉相手がウンザリして「もう、どうでもいいや」と思った頃である。ややもすると、担当も上司から「そんなに見通しの立たない話はもうやめとけ」と言われているタイミングだ。

 日本企業内で決断に時間がかかる話は、企業内ヒエラルキーにおける各階層での検討と合意の必要性という特性でも説明されるが、基本的には根回しにも稟議をまわすにも、合計時間が勘案されていないから可能なメカニズムである。

 なるべく対象の全体像を正確に描き、なるべく多くの人間の合意をとりつけ、後からプロジェクトがひっくり返るようなヘマをしないよう万全の処置を施す。これこそが最優先される世界では、投入される時間は「見ないことにする」。

 ぼくは、「見ないこと」のネガティブな部分だけを強調したいのではない。「見ない文化」にもポジティブな価値がある。見ないためのロジックを持っているからこそ、不透明な状況を切り抜けることが可能になる場合がある。

 マイナス面として、見ないことが見えないことに陥り、時間がかかり過ぎて実施までのスピードが遅いとの点が挙げられる。が、スピードが遅くてもよい案件に、この方法を採用すればいい。即決が有利になるプロジェクトには、個人の判断が優先され、且つ実施の最中に判断の微調整が許容されるアプローチをとる。

 そう、問題は、2つのアプローチの優劣を問うことではない。案件によって2つのアプローチをどう並走させるか?ということなのだ。さて、日本の企業にそういう土壌は作られつつあるのか?

▼【ローカリゼーションマップ】のアーカイブはこちら

【プロフィール】安西洋之(あんざい・ひろゆき)

安西洋之(あんざい・ひろゆき)モバイルクルーズ株式会社代表取締役
De-Tales ltdデイレクター

ミラノと東京を拠点にビジネスプランナーとして活動。異文化理解とデザインを連携させたローカリゼーションマップ主宰。特に、2017年より「意味のイノベーション」のエヴァンゲリスト的活動を行い、ローカリゼーションと「意味のイノベーション」の結合を図っている。書籍に『イタリアで福島は』『世界の中小・ベンチャー企業は何を考えているのか?』『ヨーロッパの目 日本の目 文化のリアリティを読み解く』。共著に『デザインの次に来るもの』『「マルちゃん」はなぜメキシコの国民食になったのか?世界で売れる商品の異文化対応力』。監修にロベルト・ベルガンティ『突破するデザイン』。
Twitter:@anzaih
note:https://note.mu/anzaih
Instagram:@anzaih
ローカリゼーションマップとは?
異文化市場を短期間で理解すると共に、コンテクストの構築にも貢献するアプローチ。