ヘルスケア

犬だけではない「狂犬病」 海外旅行、動物とのふれあい要注意

 今月末からの10連休に海外旅行を計画している人もいるのでは? 近年、海外で動物とふれあうツアーが人気だが、動物から人にうつる感染症には注意が必要だ。中でも狂犬病は、海外で今も多くの患者が報告されている。発病したら死に至る病気だけに、専門家は「海外では無防備に動物に近づかないで」と警鐘を鳴らす。(平沢裕子)

 「タイでトラの赤ちゃんに授乳」「ペルーでナマケモノにふれあう」「中国でパンダを抱っこ」-いずれも海外旅行のツアーにうたわれている内容だ。

 楽しげなツアーだが、心配されるのが狂犬病の感染だ。狂犬病は、狂犬病ウイルスに感染した動物にかまれたり引っかかれたりすることで体内にウイルスが入り込み感染する。

 東京医科大病院渡航者医療センターの栗田直医師は「病名に『犬』とあるため、感染源は犬だけと思っている人が多いが、狂犬病ウイルスは全ての哺乳類に感染する。海外では全ての動物に注意が必要だ」と指摘する。

発症後ほぼ100%死亡

 感染すると、頭痛や精神不安などの症状から始まり、発熱や水が飲み込めないなどの症状が出る。重症になると水を見ただけで全身のけいれんを起こす恐水症などが起こり、最終的にほぼ100%死亡する。

 日本国内での患者は昭和32年を最後に確認されていないが、世界では毎年5万人以上が狂犬病で死亡している。インドやタイなどアジアで多く、日本でも平成18年にフィリピンで犬にかまれた旅行者2人が帰国後に発症、死亡している。

 また、昨年11月にはモロッコで猫にかまれた英国人旅行者が死亡。猫ブームで、海外でも猫がいる島などは人気の観光地となっているが、「狂犬病ウイルスは唾液に多く含まれるので、傷口などをなめられることで感染する可能性もある。猫はいろいろな所にいるが、狂犬病のリスクを考えれば、なでたり抱き上げたりなどの接触はしない方がいい」と栗田医師。

 海外では、サルやコウモリ、アライグマが感染源となったケースも報告されている。

ワクチン接種で抑止

 狂犬病は発症すると100%死亡するが、感染した疑いがある場合、その直後から連続してワクチンを接種(暴露後ワクチン)することで発症を抑えることができる。予防接種もあるが、接種していても、動物にかまれるなどしたときは暴露後ワクチンの接種が必要。同センターにも、犬以外に猫、トラ、サル、馬にかまれるなどしたとして、帰国後に接種を受ける人が増えている。

 栗田医師は「アジアやアフリカなど流行地を旅行する人は、無防備に動物に近づかないこと。もし、かまれるなどしたらせっけんを使ってよく洗い、早めに医療機関を受診してほしい」と話している。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus