【暮らし替えの道しるべ】(31)シニアの「片づけ」ことはじめ

 引っ越しやリフォームをするお客さま宅で、家財の片づけや荷造りのお手伝いをしていた頃のことです。高齢のお客さまのご依頼は、リタイア後にリフォームする、2世帯住宅に引っ越しするなどの理由が多く、次の暮らしに合わせて荷物を整理することが中心でした。

 シニア世代が暮らしの変化に備え、最初に踏み出すべき一歩は、今までため込んできた荷物をすべて棚卸しして、取捨選択していくことです。リタイア後にどう暮らしたいか、必要な物は何かを考えるのですが、なかなか大変な作業です。

 快適に安全に暮らすためのリフォームが目的であれば、生活動線(生活する際に移動する線)上に物がないようにします。収納は、腕が上がらない、足が痛くてしゃがめないというような身体的な変化に対応する工夫も必要です。

 2世帯住宅のための片づけは、共有部分で使う物を減らす必要があります。例えば、長年愛用していた台所用品もすべては持っていけないでしょう。今後作るお料理を思い浮かべながら選んでいきましょう。

 さらに、高齢者施設へ転居する場合は、最も大掛かりに、徹底的に取捨選択していく必要があります。

 リタイアしてからの20年以上の暮らしは、誰もが荷物を軽くしなければいけません。しかし、意識しないと物はどんどん増えていきます。その時になって一気に見直すのではなく、いつの間にか重くなってしまった荷物を一つずつ軽くしていくように、時間をかけて気持ちの面も一緒に準備をするのが理想です。(日本ホームステージング協会 代表理事 杉之原冨士子)