【書評】『王室と不敬罪 プミポン国王とタイの混迷』岩佐淳士・著

 ■君主と民主主義考える契機に

 「微笑(ほほえ)みの国」ながらクーデターが繰り返されるタイ。本質は、軍や官僚、財閥など都市の特権階級と地方の貧困層との対立と見立て、特権階級の頂点に立つのが王室だとする。選挙では、貧困層の圧倒的支持を得たタクシン派が毎回政権を取るが、軍がクーデターを起こす。さらに特権階級で構成の裁判所が後押しする判決を出す「司法クーデター」。プミポン前国王の王妃はデモで死亡した反タクシン派側の葬儀のみ参列した事実も。王室への重い不敬罪の存在で報じられぬ実態を知ることができる。日本人として、君主と民主主義の関係を考える契機となる一冊。(文春新書、920円+税)