ヘルスケア

高齢化に病院の老朽化… 地域医療の維持に黄信号 第三者譲渡が増加 (1/2ページ)

 中小企業で悩みの種になっている経営者の高齢化と後継者不足が、医療機関でも起こっていることが、日本医師会総合政策研究機構(日医総研)の調査研究で明らかになった。特に小さな診療所が深刻で、地域医療の維持に黄信号がともる事態となっている。研究チームは「早急に実態の解明と、スムーズな継承のための対策が求められる」としている。

 ◆有床診療所は半減

 調査した日医総研の堤信之、坂口一樹両主任研究員によると、20床以上の「病院」は平成2年ごろをピークに減り続け、19床以下の「有床診療所」は12年以降で半減。入院ベッドがない「無床診療所」は増えたが、23~26年には廃止・休止が急増し、危うい兆候があるという。

 民間の信用調査会社に日医総研が発注した調査では、後継者が決まっていないのは診療所で86%、病院で68%。全業種を合計した67%に比べ、特に診療所で後継者不足が歴然となった。後継者未定の割合は地域差が大きく、北海道・東北、関東甲信越、近畿で高く、中四国、九州は低かった。

 原因の一つは、医療機関では「開設者」「法人代表者」と呼ばれる経営者の高齢化だ。30年の帝国データバンク調べでは、16年から28年の間に平均年齢は病院で62歳から64歳に、診療所でも59歳から61歳になった。

 医療機関の経営者は、原則として医師であることが求められるが、若手や中堅の医師は他業種と同様に、開業するリスクを避けようとし、勤務医志向が強い。親族や子供への継承はまだまだ多いものの、第三者へのM&A(合併・買収)が明らかに増えているという。

 ◆苦労させられない

 病院の継承を数多く手掛ける税理士法人山田&パートナーズ(東京)医療事業部の税理士、上田峰久さんは、第三者譲渡が増える要因として、経営者の高齢化とともに病院建物の老朽化もあるとみる。

 相続で継承することを選べば、将来の建て替えに伴う多額の負債を後継者に背負わせることになる。「経営者が地域医療の維持を重視すれば、資金や人材が豊富な医療法人などへの売却を考えるのは自然なことだ」という。

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus