今どきワークスタイル

(7)短時間正社員 人手不足 広がる柔軟な働き方

 複数のキャリアを求めたり、育児や介護といった事情を抱えたりと、長時間働くことが難しい人が増えている。人手不足を背景に、企業は人件費をかけてでも優秀な人材を採用したいとの意識が強く、週4日や短時間勤務で正社員雇用されるケースが広がっている。

 ◆プロフットサル選手の会社員

 オフィスでの置き野菜サービスを展開する「コンペイトウ」(東京都渋谷区)の宿本(やどもと)諒太さん(27)は週4日勤務の正社員だ。仕事の傍ら、プロのフットサル選手として活動している。

 前職はメーカーの営業職。所属チームの日本フットサルリーグ(Fリーグ)参戦を機に「両立は難しい」と退職、選手としての時間を求めて、平成29年にコンペイトウに入社した。

 正社員は雇用期間に期限がなく、週5日勤務が一般的。コンペイトウの正社員も週当たりの労働時間は週5日40時間が基本だ。だが、宿本さんは入社当時は週3・5日勤務で、状況に合わせて働き方を変えてきた。「セカンドキャリアを考えて早めに引退する選手も多い。正社員なら仕事のキャリアも積み上げられる」と話す。

 正社員での雇用は社会保険料などのコストがかかるが、川岸亮造社長は「限られた時間で成果を上げるためにどうするか。社外での経験も仕事にフィードバックしてもらえたら」と期待する。宿本さん以外にも短時間で働く正社員がいるという。

 ◆ハイスキルを活用

 育児休業から復帰するときに利用される時短勤務は、取得時期が定められている企業が多い。しかし、最近では働く時間に制約があるものの能力の高い人材が、初めから時短勤務で正社員採用されるケースもある。

 日本企業の海外進出を支援する「アニュー・ホールディングス」の執行役員、春元富美子さん(50)は昨春、管理職として正社員採用された。小学5年生の長女(11)の子育てのため、勤務は午前9時から午後4時まで。状況に合わせ、在宅勤務に切り替えることもある。

 外資系金融機関などに勤務経験があり、MBAも取得した春元さん。「できるだけ子供の側にいたい」と出産後にはパート勤務をしていたことも。だが、仕事のやりがいを求め、人材サービス「ビースタイル」のハイスキル人材紹介事業を利用し、アニュー・ホールディングスに入社した。

 「正社員、しかも管理職は裁量権もあり、会社とともに成長できるのが醍醐味(だいごみ)。海外出張などまだ難しいことはありますが、チームに足りない部分を補ってもらい、できることは積極的に貢献するようにしています」と春元さんは話す。

 ◆教育投資しやすい

 高齢化や共働きの増加もあり、長時間の労働ができる人は減っている。総務省の労働力調査によると、月末1週間の就業時間が40時間以上の人は、平成12年は69%だったのが、30年は57%になった。

 日本総研の山田久主席研究員(労働経済学)は「企業も働く人の志向や制約を考えないと人材が確保できなくなっている」と指摘。さらに、工場労働のように働く時間や場所が決まっている仕事が減り、納期があっても時間の使い方が自由な仕事が増えたことで、柔軟な働き方が可能になっているという。

 山田さんは「人件費がかかるが正社員は雇用期間に期限がなく、教育投資しやすい。短時間正社員は広がっていくのではないか」と話している。

                   

 ≪編集後記≫

 雇用が安定するだけでなく、仕事の責任が重く、会社との一体感をより味わえる正社員は働く人にとっても魅力的。男性は仕事、女性は家事・育児という家族像にとらわれず、ライフスタイルも多様化した現在。就業意識も変化し、国も副業を推進するなか、短時間正社員は時代に合った働き方のようです。(油原聡子)

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