高見国生の認知症と歩む

(19)防ぎきれない行方不明

 先日の新聞に「認知症不明者1.7万人 最多更新」の記事が載りました。平成30年中に認知症かその疑いが原因で行方不明になったと警察に届け出があった人は、前年より1064人増えて1万6927人になった、というものです。そんなに多いのかと驚きでした。

 そのうち昨年中に所在確認できなかった人が197人に上るといいます。昨年中に確認できた人のうち、届け出をした日に発見が73.4%で、99.4%が1週間以内に発見されていますが、2年以上たっていた人が2人、事故などで亡くなった人が508人もいるそうです。

 見つからないときの家族の心配や、遺体で発見されたときの悲しみを想像するとたまりません。私には、忘れられない悲しい思い出が2つあります。

 一つは6年ほど前の夏。私の知り合いの女性の60代の夫は毎日散歩に出ていたのですが、ある日突然帰ってきませんでした。彼女は近所はもちろん、思い出の地である四国や九州まで探し回ったのですが見つからず、半年ほどたった翌年の春に自宅近くの林の中で遺体で発見されました。行方不明になることなど想像もしていなかった段階での出来事です。

 もう一つは、認知症高齢者の列車事故を巡る裁判で、1審でも2審でもJRへの損害賠償を命じられながら、3年前の3月の最高裁判決で「家族に責任なし」と認められた家族の事例です。私は当時『認知症の人と家族の会』代表として、家族を支援する見解を発表しました。こちらは、家族全員が出て行かないように気をつけていたのに、ちょっとした隙に外出して線路に入り事故に遭ったのです。

 防ごうとしても防ぎきれない認知症の人の外出と行方不明。どちらも家族を責めることはできません。=次回は26日に掲載

                   

【プロフィル】高見国生

 たかみ・くにお 認知症の養母を介護し、昭和55年に「認知症の人と家族の会」を設立。平成29年まで代表を続け、現在は顧問。同会は全国に支部があり、会員数約1万1000人。

                   

 「認知症の人と家族の会」電話相談 平日午前10時~午後3時、0120・294・456

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