がん電話相談から

乳がん、全摘か温存か迷う

 Q 59歳の女性です。今年の3月にマンモグラフィーを受けたところ、乳がんの疑いがあると言われました。精密検査(針生検)を受け、ステージ0の非浸潤がんと診断されました。マンモグラフィー、MRI(磁気共鳴画像装置)では、腫瘍の直径は5ミリでした。主治医からは、乳房全てを摘出する「全摘手術」でも、乳房の一部を取る「温存手術」でもどちらを選ぶこともできるといわれています。適切な治療法はどちらでしょうか。

 A 直径5ミリの非浸潤がんでは、全摘手術でも温存手術でも最終的な寿命に変わりはないと考えられています。温存手術で十分に乳房の形状の整容性を保てることが多いと思います。ただし、理解しておきたいのが、検査で分かる範囲が5ミリで、針生検で検査した部分が非浸潤がんだということです。手術をしてみたら浸潤がんが出ることもありますし、範囲が思っていたより広がっていることもあります。その場合、もう1度手術をして追加切除や全摘手術となる可能性もあります。

 Q 全摘手術後の乳房の再建手術には時間がかかるのでしょうか。

 A 一般的には乳がんの手術時に、生理食塩水のバッグ「組織拡張器」を入れます。手術後、外来で生理食塩水を注射で追加して徐々に皮膚を伸ばし、半年から1年後に入れ替え手術を行います。おなかや背中など自分の組織を使う「自家組織再建」では手術時間は4~8時間ほどかかりますが、人工物(シリコンインプラント)を入れる場合は1、2時間程度です。

 Q 乳房の温存手術後、放射線療法は必要でしょうか。

 A 温存手術は、術後に放射線療法を行うことで全摘手術と同じ効果が得られると考えられています。照射時間は数分のため、仕事をしながら通院する人も多くいます。副作用として、日焼けのような皮膚の変化が起こります。体調に影響が出る人は少ないですが、だるさを覚える人もいます。

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 回答には、がん研有明病院の上野貴之乳腺外科部長が当たりました。カウンセラーによる「がん電話相談」(協力:がん研究会、アフラック、産経新聞社)は、03・5531・0110。月~木曜日(祝日は除く)午前11時~午後3時。相談が本欄に掲載されることがあります。

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