ヘルスケア

移植医療、iPS細胞から立体的臓器作製 安全面課題も切り札として期待 (1/2ページ)

 人工多能性幹細胞(iPS細胞)から立体的な臓器作製を目指す新たな研究が国内で始まる。臓器提供件数が限られる中、移植医療の切り札になるとの期待がある一方で、安全面で課題が残る。人と動物の細胞が混ざった生物ができることに対する倫理的な抵抗感も根強く、チームは社会の理解を得ながら慎重に進める方針だ。

 移植を望む患者に対し、提供される臓器が足りない状況は続いている。例えば膵臓では200人前後が移植を希望しているのに対し、年間の提供数は40件前後だ。あらゆる細胞になる能力があるiPS細胞から臓器ができれば、移植医療に代わる治療法につながるとの期待がある。

 既に慈恵医大などのチームは、腎不全の患者のiPS細胞から腎臓のもとになる細胞を作り、これをブタの体内で「腎臓の種」に成長させる研究を開始。横浜市立大はiPS細胞から複数の種類の肝臓の細胞に成長させて「ミニ肝臓」を作る研究を進める。

 ただこれらの技術は、臓器の機能は補えるが、大きなものはつくれないなどの限界も指摘される。

 今回の東京大の中内啓光特任教授らの研究は、人にそのまま移植できる膵臓などの立体的な臓器を持った動物を誕生させるという大胆な試みだ。患者本人のiPS細胞だけでできた臓器をつくることができれば、移植後の拒絶反応を回避できるというメリットもあり、移植医療の切り札となる可能性がある。

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