趣味・レジャー

奈良で早朝のシカを撮影する「鹿活」ブーム

 奈良公園(奈良市)周辺に生息する国の天然記念物「奈良のシカ」を早朝に撮影し、インターネットの交流サイト(SNS)に写真を投稿する「鹿活(しかかつ)」がひそかなブームとなっている。人出のまばらな時間帯のため観光客でにぎわう日中とは違った構図を狙いやすく、朝の光を受けた雰囲気のある写真を撮影できるメリットがあるという。(桑島浩任)

 鹿活は、奈良市内でかき氷店を経営する平井宗助さん(48)が2年前に提唱した。「紅葉の時季、早朝にシカを撮って感動したのがきっかけ」で、「朝は太陽の位置が低く、陰影が出るのでドラマチックな雰囲気に撮ることができる」という。

 望遠レンズを使えば離れたところからも狙いやすいが、平井さんは「最近のスマートフォンはとてもきれいに撮れる。画角も広いので、山から差す朝日を入れて撮るのがおすすめ」と話す。高級な一眼レフカメラや高性能レンズがなくても楽しめるのが、鹿活の魅力だ。

 記者も愛用のカメラと三脚をかつぎ、人生初の鹿活へ出発した。今月2日午前5時、気温は27・5度。猛暑となる日中と比べれば、日差しも弱く、かなり過ごしやすい。

 向かったのは、初心者におすすめという春日大社境内の芝生広場「飛火野」。高確率でシカと遭遇できるとされる人気スポットだ。すでに鹿活とおぼしき人が、カメラを片手にせわしなく動き回ったり、三脚を立ててじっとシャッターチャンスを待ったりしている。

 シカには遭遇できたが、ここでは納得のいく写真を撮ることができず、西側にある奈良公園・鷺池(さぎいけ)方面へ。そこで、池に浮かぶ六角形のあずまや「浮見堂」に向かって歩く1頭のシカを撮ることができた。振り向いたシカの一瞬の表情を切り取れた達成感はひとしおだった。

 周辺には古都らしい雰囲気の撮影ポイントがたくさんあり、気軽に楽しむことができる。鹿活人口は着実に増えており、SNS上には「#鹿活」のハッシュタグを付けたシカの写真が多数アップされている。

 「奈良で宿泊し翌朝に鹿活に行く人が増えれば、奈良の観光がもっと活気づく」と平井さん。奈良観光は日帰りが定番だが、宿泊客を呼び込む一助にもなりそうだ。

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