教育・子育て

なぜ高校の必修科目になるのか…東大生が「地理」の勉強をすすめる理由 (2/3ページ)

 地理は、全科目の基礎教養になる

 もっと詳しくお話しします。例えば、英語の長文で題材になることというのはさまざまなものがありますが、それらの多くは地理と結びついています。貿易の話や資源の話、バーチャルウォーターの話やフェアトレードの話……。これらは全て、地理を勉強していればある程度の前提知識を持って望むことができます。

 また、国語でも同じように、世界経済についての文章や高齢化についての長文が出ることがあります。その時、あらかじめその前提を知っている学生とそうでない学生とでは大きな差が出るのです。また、世界史でヴァイキングの話が出た時、その地域の冬の厳しさや土地の肥沃さ・農業の大変さを知らなければより深く理解できません。

 もし、ストレートに地理が題材になっていなかったとしても、人口や気候・資源や貿易の話というのはどこかで関わってきます。高齢者介護の問題を人口の高齢化と結びつけずに語ることはできませんし、日本とヨーロッパの価値観の違いを、日本とヨーロッパの気候や地形の違いを抜きにして考えることはできません。

 「地理」という言葉の由来を知っていますか? 地理は、「地上の理(ことわり)」のことを指します。地球上の出来事・人間の営みすべてのことを総括して「地理」というのです。つまりは、すべての学問の「入り」になるような構成要素を網羅的に学べる科目なのです。気候や土地・農業に工業・人口に都市経済……これらはすべて、学問の基礎になる「常識」となるのです。「一般教養」と言い換えてもいいかもしれませんね。

 地理は、思考力にも直結する

 そして、「常識」や「一般教養」があれば、いろんな物事を考えることができるようになります。

 2020年入試改革では「思考力」が前面に押されていて、AIが台頭する時代において人間がAIに勝てるのは知識の量ではなく思考能力だと言われて久しいですね。しかし、「思考力」なんて言われても、何をどう思考すればいいのかわかりませんよね。「何を考えればいいの?」って感じだと思います。事実、僕も以前はそうでした。

 ニュースを読み解く力も上がる

 この「思考力」の元になるのが、地理なのです。地理というのは、いろんな科目と結びつけやすい知識を教えてくれる科目です。例えばニュースを聞いていても、地理を知っていれば思考することができる場面は多いです。「トランプ大統領はアメリカ中西部からの支持を得ている」というニュースなら、「アメリカ中西部」には一体何があって、どういう地形で、どんな産業が盛んだったのかを考えることができると思います。

 そう考えると、トランプ大統領がなぜ、アメリカ中西部から支持を得ているのかも見えてきます。アメリカ中西部は、昔は自動車産業で栄えた地域でしたが、石油危機以降、燃費のいい日本車のほうが人気になってしまい、車が売れなくなって衰退してしまった地域です。

 日本の車を輸入したせいで衰退したということは、自由に貿易を行う「自由貿易主義」を嫌っていて、トランプの提唱する「保護貿易主義」に同調しているのかもしれない……。そんなことを考えることができますよね。こういう、ちょっとしたニュースや普段の身の回りのことを深めて考えることができるようになるのが、地理という科目なのです。

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