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安易に降りれば貧困へ 「とりあえずは専業主婦」幻想の恐るべき現実 (2/4ページ)

 2015年の国勢調査によれば、この準専業主婦を加えて広義の「専業主婦」とすると、その数は全体(15~64歳)の63%を占めており、共働き世帯の数を上回ります。6歳未満の子供のいる家庭に至っては、専業主婦の女性と準専業主婦の女性がそれぞれ全体の51%と23%を占めており、労働市場に本格的にコミットする「キャリア主婦」は4人に1人程度しかいません(図表1)。

 「主に仕事」をしている主婦は、学校在学中の年齢層(15~19歳)を除くすべての年齢層において、30~40%前後であり、年齢層による変化はわずかしかみられません。つまり、労働市場に本格的にコミットするキャリア主婦は、いずれの年齢層においても、3人に1人程度しかいないのです。現在でも、日本の大半の主婦は、完全な専業主婦とパート主婦(準専業主婦)の間を行き来しているのです。

 したがって、「働く主婦の人数が専業主婦より多いから、専業主婦が少数派になった」という結論を出すのはやや拙速でしょう。労働市場に本格的にコミットする、いわゆる「主に仕事」をしている主婦は、1970~80年代も今も変わらず少数派なのです。

 不都合となった「専業主婦」モデル

 一方、「専業主婦」モデルの下で個人と企業が相互利益を得られるような経済・雇用環境は、すでに過去の遺物になっています。少子高齢化が進み、労働力の不足に苦しむ日本経済にとって、「専業主婦」モデルは女性人材の浪費に他なりません。個人と家庭にとって、「専業主婦」モデルはかつてないほど経済的不自由と不安定を強いるものになっていると言えるでしょう。(中略)

 専業主婦を支えられる30代男性は3人に1人

 2015年時点で、夫婦と子ども2人の4人世帯における標準生計費は月額31万円程度です。標準生計費に、税と社会保険料などの固定支出が加わる(貯蓄ゼロと仮定します)と、専業主婦家庭ならば、夫は年間476万円を最低限稼ぐ必要があります。仮に夫が年間2000時間(常用労働者の平均労働時間に相当)就業する場合に、その時給が2380円以上になることが平均的な暮らしを送る条件となります〔詳細は、周燕飛(2017)「日本人の生活賃金」アジア成長研究所ワーキングペーパーNO.2017-15を参照〕。

 ところが、最近の全国調査によれば、この収入基準をクリアしている男性世帯主は4割強しかありません。比較的若い年齢層に限ってみると、「専業主婦」モデルを支えるほどの稼得力(稼ぐ力)を持つ男性世帯主の割合は、20代では5人に1人、30代では3人に1人程度です。大学・大学院卒の高学歴者と正社員の男性世帯主は、収入状況の面で平均よりやや恵まれているものの、上記の収入基準をクリアできる者は、やはり全体の半数程度に過ぎません。

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