ヘルスケア

角膜の再生医療、大阪大学の実施で道筋 安全性の確認第一に

 大阪大が実施した人工多能性幹細胞(iPS細胞)を使った目の角膜移植は、提供者不足が続く角膜を再生して治療する初の試みだ。今回の対象となった角膜上皮幹細胞疲弊症だけでなく、他の病気の治療にもつながると期待される。

 角膜上皮幹細胞疲弊症は外傷や病気によって、角膜の最も外側の上皮という部分で新たな細胞のもとになる幹細胞が失われ、角膜が濁って視力が低下する病気。重くなると失明する。

 原因が多様なため、発症する性別や年代はさまざまで、死者や脳死者から提供された角膜の移植が唯一の治療方法となっている。

 厚生労働省によると、角膜移植の希望者は、他の病気の患者を含め平成29年度末で1624人。だが30年度の提供者は720人にとどまるなど、慢性的な提供者不足が続いている。

 ただ、今回の移植治療が成功しても、すぐに治療法が確立するわけではない。理化学研究所が26年以降、加齢黄斑(おうはん)変性という重い目の病気の患者に実施したiPS細胞由来の網膜細胞移植でも、一部の患者の網膜に異常な組織が生じて除去手術が必要となる予想外の事態が生じている。大阪大の臨床研究も、まずは着実に安全を確認することが重要だ。(伊藤壽一郎)

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