ゆうゆうLife

家族がいてもいなくても(608) (1/2ページ)

 ■いまも“戦友”と

 久しぶりに東京に出掛けた。

 指定された場所は新宿のホテル。ビンボーな雑誌ライター時代からの行きつけの場所だった。

 ホテルというところは、客室の値段は高いけれど、館内にいるだけならお金はかからない。身なりさえちゃんとしていれば、文句も言われない。そんなわけで、なにかと昔からロビーなどで延々打ち合わせしたり、仕事をしたりしているのだ。

 その日、会ったのはシニアな3人。時間前に来てカフェの場所取りをしてくれた元編集プロダクション社長と元雑誌ライター。70代と60代。お互いまだ働いているの?と言われそうな年頃だけれどまずは元気でいる。元社長は、企画趣旨を熱く語ると、「じゃあ、あとは2人にまかせる」と去っていった。

 そのとたん、目の前の彼女が言った。「彼のような昭和の男のあの熱さはいいな。やる気出るわ」

 その後、数時間。頼まれたページをどうまとめるか、女2人も熱く仕事に取り組んだ。

 思えば、この彼女と知り合ったのは、二十数年も前のこと。当時、私は女性雑誌をにぎわしている現場に行って、見たままを実況中継ふうにルポをする、という仕事をしていた。彼女が、その取材方法見たい、などと言ってついてきたのが出会いの始まりだった。

 その日はある高級デパートで買い物をするブランド主婦を取材することになっていた。ところが、来てみたら、「コマダム」と呼ばれる女性たちが身に着けるブランド名が、私には、まったくわからない。途方にくれていたら、見に来ただけの彼女がすごかった。

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