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(161)認知症 「遺伝」だけではない原因

 高血圧で通院する60代後半の女性患者さんは、高齢のお母さまを介護しています。お母さまは体は元気なのですが認知症があるそうです。「母のようにはなりたくない」というのですが、だからといって特に節制をしているわけではないようです。たばこもやめるべきだとお話しするのですが、「我慢してまで長生きはしたくない」と聞き入れてもらえません。

 認知症には遺伝的ななりやすさというものがありますが、生活習慣も多分に影響することがわかっています。どの程度影響されるのかを調べた研究結果が今年8月に米国の医学雑誌に発表されました。これは平均年齢64歳の英国人約20万人を、認知症に関係した遺伝子をどの程度持つかにより3群(高・中・低)に分けて、約8年を追ったものです。生活習慣としては喫煙、運動習慣、健康的な食事、適度な飲酒によりやはり3群(健康的・不健康・その中間)に分けて評価しています。

 結果は、まず遺伝的にリスクの高い人は低い人に比べて1・9倍認知症を発症していました。ただ、遺伝的リスクが高く不健康な人は、遺伝的リスクが低く健康的な人に比べ2・8倍、認知症を発症していました。遺伝的リスクの高い人の中だけで比べると、健康的な人は不健康な人より約3割認知症が少ないという結果でした。

 遺伝的な要因はどうすることもできませんが、不健康な生活習慣はそれに拍車をかけてしまいます。逆に健康的な生活を送ることで、結構抗(あらが)えるということも、この研究は示しています。認知症に関係するものとしては他に高血圧、糖尿病、肥満、難聴、うつ、社会的なつながりといったものが知られており、認知症の要因の3分の1は修正ができるものであると言われています。

 認知症の人が生きやすい社会を作ることはもちろん大切ですが、認知症にならないように気を付けることも大切です。女性患者さんも「たばこと認知症が関係あるなんて知らなかった」と言い、真剣に禁煙することを考えてみるということでした。(しもじま内科クリニック院長 下島和弥)

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